富士フイルム、再生医療収益化へ着々 試薬買収 – 日本経済新聞

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 富士フイルムホールディングスが和光純薬工業を買収するのは、将来の収益源と位置付ける再生医療分野で主要事業を手中に収めるためだ。自社の技術に和光純薬が持つ製品を組み合わせ、再生医療に必要な主要材料の全てを自社で手掛ける体制を整える。既存事業との相乗効果を引き出し、早期の事業黒字化につなげる。

記者会見する富士フイルムホールディングスの古森重隆会長兼CEO(15日午後、東京都千代田区) 
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記者会見する富士フイルムホールディングスの古森重隆会長兼CEO(15日午後、東京都千代田区) 

 15日に都内で記者会見を開いた古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO)は「再生医療の最強の布陣ができた」と強調した。和光純薬は細胞を培養する際の栄養剤の役割を果たす培地を手掛ける。培地を低コストで供給する技術が高く、医療機関に広く販路を持つ。

 富士フイルムは苗床のような機能を持ち、ヒトの細胞を臓器など立体物に育てる足場材の技術を持つ。培地事業の獲得により再生医療に必要な材料を個別に医療機関に提供したり、細胞を培養したうえで供給したりする総合的なサービス体制が整う。古森氏は「和光純薬と技術も融合し、シナジーを引き出してビジネスを最大化する」と述べた。

 富士フイルムはM&A(合併・買収)を通じ、再生医療事業に参入してきた。2014年に再生皮膚などを手がけるジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J―TEC)を子会社化。15年にはiPS細胞を手掛ける米セルラー・ダイナミクス・インターナショナル(CDI)を買収した。

 J―TECは既に再生医療製品の承認を得て、やけどの患者向けの自家培養皮膚などを販売している。移植が可能な医療施設が増え、増収効果により研究開発費を吸収し始め、16年度の黒字化がみえてきた。CDIもiPS細胞の供給事業が収益の柱として育ちつつある。

 富士フイルムホールディングスの16年3月期の連結売上高は2兆4916億円。47%を占めるドキュメント事業はオフィスの印刷需要の低迷で伸び悩み、デジカメやミニラボも同様だ。4235億円だったヘルスケア分野を成長領域と位置付け、19年3月期にも1兆円を目指す計画だ。

 和光純薬の買収について助野健児社長兼最高執行責任者(COO)は「10年強で投資を回収できる」と説明した。古森氏も「買う意義がある企業が出れば買収したい。足りない部分は補っていく」との考えだ。

 日本では14年11月に施行された医薬品医療機器等法(旧薬事法)で再生医療製品の製造・販売承認の手続きが簡素になり、製品化しやすい環境になった。これまでに重いやけどの治療に使う培養表皮や、心不全治療用の製品が実用化されている。従来はベンチャー企業が中心だったが、製薬大手が力を入れ始めたほか、日立化成など異業種も相次いで参入している。

 ただ再生医療は各国とも制度が整備されておらず、収益を十分に稼げるかどうかまだ読めない面がある。例えばJ―TECは重いやけどの患者向けに皮膚を培養している間に患者が亡くなってしまい、培養コストが回収できなかったことがある。どこまで保険の対象にするかなど各国での今後の医療政策が収益にも影響することになる。






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