ビジネスプランコンテストで地域活性化!島根・江津市で進む、起業×移住のプロジェクト ① – HOME’S PRESS(ホームズプレス)

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起業率が高いコンテストの仕組みとは

2016年のファイナリスト3名と最終審査会場の様子2016年のファイナリスト3名と最終審査会場の様子

移住や地方創生の動きが活発化しているが、島根県・江津(ごうつ)市では「Go-Con」と銘打った「江津市ビジネスプランコンテスト」が開催されている。これは、江津市の課題解決を実現する創業プランを広く市内外から募集するもの。2010年よりスタートし、年に1回の開催で既に6期の大賞を輩出した。

驚くのは、最終審査に残ったファイナリストの起業率の高さだ。2010年のコンテスト実施以降、地域公園内のオートキャンプ場の活性化、クラフトビール醸造所の立ち上げに、古民家を再生したゲストハウスビジネスの展開。さまざまなビジネスが生まれ、着実に地域に根付いている。2015年度などは6名がファイナリストとして選出されたが、すべての人が事業化を実現している。

最近では、地域創生や産学連携の場でコンテスト形式のプラン募集なども多いが、ここまで事業化が進む例はなかなかないのではないだろうか。なぜこの「江津市ビジネスプランコンテスト」では、起業率が高いのだろうか。

今回は、他県からも視察の多いという「江津市ビジネスプランコンテスト」の狙いとその仕組みについて、主催者である江津市、また共催者として応募者のサポートを行う「NPO 法人てごねっと石見」の方々からお話しをうかがってきた。

“競争”ではなく、“高め合い”を主眼に

2016年度の「ブラッシュアップ勉強会」の様子。白熱した議論が交わされた2016年度の「ブラッシュアップ勉強会」の様子。白熱した議論が交わされた

「もともとこのコンテストは、移住や定住対策の延長線上につくられたもの」と主催者である江津市 政策企画課 地域振興室の森脇 淳氏はコンテストのスタート時の成り立ちを説明する。

ここ江津市は、島根県の西よりに位置し人口約2万5千人が生活する。「石州瓦」で有名な地域だが、他の地方地域と同様、高齢化と人口減少の課題は避けて通れない。2008年には地方自治体としてもいち早く空き家対策に力を入れ、翌年には全国に先駆け「空き家バンク」の整備にもあたってきた。

「移住・定住対策として空き家バンクを整備しましたが、課題となったのが特にリーマンショック以降顕著になった職場の減少です。江津市ではもともと職種も限られていました。そこで、江津の課題解決や地域性を活かしながら、新たなビジネスを立ちあげてもらえる人材、“企業”ならぬ“起業誘致”をしようとビジネスプランコンテストがスタートしました」(森脇氏)

そのため、コンテストの応募者は市外からのUIターン者がほとんど。スタートした2010年には25件の応募があり、その多くが県外からの応募者だったという。もちろん、現在もその傾向は変わらない。

しかも面白いのは、江津市のビジネスプランコンテストは「コンテスト」と名のつくものの、参加者同士の「競い合い」よりは「高め合い」に主眼が置かれていることだ。結果よりも過程が重要視されている。

例えばコンテストの仕組みとして、「一次審査」を通過した応募者は「最終審査会」にコマを進めることになるが、その途中に「ブラッシュアップ勉強会」が設けられている。ここでは、主催者側からのアドバイスが受けられるのはもちろんのこと、応募者同士にも各プランが開示され互いに刺激を受け合いながら互いのプランを磨き、応募者同士のつながりも創出する。

主催者側も最大限にプランの実現を後押し

また、応募から事業化、そしてその後のフォローなども市や「てごねっと石見」がサポートする仕組みだ。「てごねっと石見」で応募者たちのサポートを担当する竹内 希氏によれば、応募希望者に丁寧に話を聞きながら、応募フォームへの記入やポイント整理のアドバイスはもちろんのこと、事業化に必要なキーマンとつないだり、さらには、実際に起業後のスタッフ募集時にも手助けをするなど、きめ細やかなサポートが行われているという。

「そもそも、サポートは応募以前のところから始まります。食事の席などでやりたいことや夢の話が出たときに、『それ、Go-Conに出してみませんか?』といった具合に(笑)。

コンテストといっても、ただ優れたプランを選ぶというスタンスはなく、応募者の方々に寄り添い伴走するのが役割。賞を取る取らないが問題ではなく、いかに応募プラン一つひとつの実現をサポートできるかが目的です」(竹内氏)

応募者の中には、具体化する過程でさまざまなサブアイデアにより、当初の課題解決動機が埋もれてしまう場合がある。そんな時には、竹内氏が当初の想いからブレないように軌道修正のアドバイスをすることもあるという。それくらい応募者の方々と密に向き合い、丁寧に話を聞いている。

また、このコンテストでは、市や「てごねっと石見」のほかにも、共催として「江津商工会議所」や「桜江町商工会」、「日本海信用金庫」が参加し、プランの事業化のバックアップを行っている。

「市やてごねっと石見では、プラン内容の深度を深めるサポートを、そのほかビジネス化に向けては、商工会や金融機関の方を紹介することで収支計画の作成などをサポートしてもらいます。“地域課題解決のプラン内容”と“ビジネス化”両面からサポートできるのもこのコンテストの特徴です」(森脇氏)

まさに、コンテストとはいえ、主催者側が応募者と一緒になってプランの実現化を目指すコンテストなのだ。

Go-Conは、一次審査後、ブラッシュアップ検討会などの段階を経て最終審査へと進むGo-Conは、一次審査後、ブラッシュアップ検討会などの段階を経て最終審査へと進む

2016年度の大賞は「パクチー栽培事業」

2016年度の大賞は原田真宜さん(神奈川県出身/江津市在住)が提案した『パクチーで稼げる農業を実践、江津に第3の特産品を』)に決定。今後、①江津における新しい特産品の創造、②江津ブランドの発信、③稼げる農業の実現を目指すことに2016年度の大賞は原田真宜さん(神奈川県出身/江津市在住)が提案した『パクチーで稼げる農業を実践、江津に第3の特産品を』)に決定。今後、①江津における新しい特産品の創造、②江津ブランドの発信、③稼げる農業の実現を目指すことに

今年度2016年度は、先月12月に最終審査会が行われ大賞が決定した。受賞したのは、神奈川県出身の原田真宜さんが提案した『パクチーで稼げる農業を実践、江津に第3の特産品を』だ。

近年、都市部などでもパクチー専門店ができるなど、着実に定着化しつつあるパクチー人気。しかし、季節変動をうけやすく、生産者が少ないパクチーは安定供給がまだ実現していない状況。これを一般的な土耕栽培からデータドリブンによる水耕栽培に切り替えて、効率化を実現し江津市の第三の特産物に育てようという構想だ。

もともと農業に興味を持っていた原田氏は、休日を利用して各地の生産農家に足を運び、ぶどうの笠懸やミカンの収穫などのお手伝いをしてきたが、そこで見えてきたのは、いわゆる「農業はもうからない」とされる生産者サイドの現実。「生産者も喜ぶ仕組みをつくりたい」と今回の企画を思いつき、江津市に移住をして起業を進めるなかでコンテストに応募した。

「コンテストの受賞有無とは別に、起業は進めていましたが、コンテストに参加できたことで確実にネットワークは広がりました。一次審査後のブラッシュアップ勉強会では、主催者側はもちろんのこと、ほかの応募者の方と意見を交わすことで違った視点を学ぶこともできました。消費者の立場からの視点、販売や店舗展開におけるニーズなど自分だけでは出てこない視点を得られたこともありがたかったです」(原田さん)

コンテストに参加すると現実化が格段に進む

こうしてお話をうかがっていると、コンテストと名前を持つものの、実際のところは起業支援を目的としたワークショップに近い印象だ。受賞者だけではなく応募者全員に手厚いサポートをしながら起業を現実化させるのが目的。単にワークショップや「塾」のような形をとるよりも、コンテスト形式のため目標と期限が明確に決まっていることから現実化が進みやすいように思える。もちろん、主催者側のサポート体制がしっかりしていることが重要だが、こうした仕組みと打ち出し方は、他の団体も大いに参考にできるのではないだろうか。

「起業支援や地域サポートを目的とする『てごねっと石見』では常に、地域にかかわる方々の想いや夢を大切にうかがっています。そんなお話を聞いた時にはコンテストへの参加をプッシュします。格段に現実化する確率が上がりますから。収支的な話は、いきなり金融機関などに足を運ぶのは敷居が高いという意見もよく聞きます。私たちはその間をつなぐ存在。

このコンテストは移住・定住促進の側面が強いので外向けのPRを行っていましたが、今後はより市内の周知徹底にも力を入れ、住民のお子さんのUターンの後押しをしたり、市民の方と一体になった起業誘致を実現できればと思います」(竹内氏)

「地域振興や定住対策というのは、長いスパンで行うものなのでなかなか結果が見えにくいもの。ですが、ここ数年は目に見えて変わってきているのを実感しています。コンテストの出身者たちが、面白そうなショップや企業を立ち上げ、その方たちを訪ねて全国から色々な方がいらっしゃる。人が人を呼び、人の流れが変わってきました。

コンテストはあくまでも、地域活性化の一環。しかし、きっかけとしては大きなものでもあります。“ちょっとこんなことをしてみたい”まだまだ構想段階でも、事務局はしっかりとサポートをしますので、ぜひこれからも多くの方々に参加をしていただきたいです」(森脇氏)

「江津にはキラキラとした人が集まっていますよ」という竹内氏。ビジネスプランコンテストがその一翼を担っている。

■Go-Con2016 開催報告
http://tegonet.net/pg452.html

お話をうかがった江津市 政策企画課 地域振興室 森脇 淳主任(左)とNPO法人てごねっと石見の竹内 希お話をうかがった江津市 政策企画課 地域振興室 森脇 淳主任(左)とNPO法人てごねっと石見の竹内 希

2017年 02月10日 11時06分






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