スコットランド 独立の成算は – 日本経済新聞

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The Economist

 英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めて半年あまり。今、再び住民投票の話が出ている。今回、「自分たちの主権を取り戻す」機会を得るかもしれないのはスコットランド人だ。彼らは2014年、住民投票で英国からの独立をはっきりと否決した。昨年の国民投票でも彼らは反対票を投じたが、EU離脱が決まり、独立問題が再燃している。スコットランド民族党(SNP)のスタージョン党首が首相を務める行政府は、独立の是非を問う2度目の住民投票を実施するため法案を作成した。世論調査を見ると、今回は独立派が多数を占めるかもしれない。

■石油と金融に依存、二大産業は不振に

スコットランドでは英国からの独立機運が再び高まっている=AP
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スコットランドでは英国からの独立機運が再び高まっている=AP

 これは何も驚くことではない。スコットランドは英国とは別の「国」だという行政府の主張が、これほど説得力を帯びて見えたことはないからだ。今の時代を特徴づけることになった英国の離脱問題では、スコットランド人は62%が残留を支持したが、やがてイングランド人によってEUから引きずり出されることになる。英議会の二大政党の保守党と労働党は、スコットランドに割り当てられた59議席のうち、2議席しか占めていない。3年前の住民投票時に広がった英連合王国を支持する主張も、今ではほとんど聞かれなくなった。スコットランド人は当時、英国残留がEUにとどまる唯一の方法だと諭された。独立すればEU加盟の再申請が必要になるが、その場合、自国のカタルーニャ州の独立を阻止したいスペインが反対するというのがその理由だ。

 ところが実際には、英国にとどまれば欧州に永遠に別れを告げることになる。しかも、英国経済は今後、減速が予想される。スコットランド人が抱える様々な懸念が脇へ追いやられていることを考えれば、連合王国の結束を「貴重な、貴重な絆」と呼んだ英国のメイ首相の就任演説はむなしく聞こえる。

 EU離脱が英国にとって「政治的な激震」だとすれば、スコットランドもさほど注目されてはいないが、実は経済的な衝撃に見舞われている。スコットランド経済は、14年の住民投票の頃は英国とほぼ同じ成長率を誇っていたが、その後はさえない。過去5四半期のうち2四半期は伸びていない。

 これは石油と金融への依存度が高いためだ。14年は北海ブレント原油の価格が1バレル110ドルで、SNP政権はスコットランドが独立すれば、15年度にはエネルギー産業から83億ポンド(約1兆1600億円)の税収が得られると見込んでいた。その後、原油価格が急落し(現在は1バレル55ドル程度)、実際の税収は予想額の1%にしかならないことが判明した。しかも、石油自体が枯渇しつつある。ブレント油田に最初に設置された掘削装置は今夏、解体される。

 石油や天然ガスと併せ、近年、スコットランドの域内総生産(GDP)の最大3分の1に相当する輸出を生み出してきた金融も不振が続いている。14年9月以降、金融関連の雇用は1割減り(ロンドンはやや増えた)、昨年は業界の平均賃金が5%減少した。






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