住友化学、有機ELに懸け 液晶から転換急ぐ – 日本経済新聞

Home » 聖地巡礼 » 住友化学、有機ELに懸け 液晶から転換急ぐ – 日本経済新聞
聖地巡礼 コメントはまだありません



 住友化学は7日、有機ELディスプレーを搭載したスマートフォン(スマホ)向けに、曲げられるタッチパネル部材の生産能力を3倍強に増やすと発表した。実はこの増産、市場が成熟して稼ぎにくくなった液晶向け部材の設備を改造して使うのがミソだ。液晶から有機ELへのシフトが進むと判断、素材メーカーとして100億円超を投じて自らも転換を急ぐ。

■生産ラインつくり替え、45%を有機ELに

2018年初めまでに、曲がるタッチパネル(写真)の生産能力を3倍に引き上げる
画像の拡大

2018年初めまでに、曲がるタッチパネル(写真)の生産能力を3倍に引き上げる

 映像の色を表現する「カラーフィルター」と呼ぶ液晶部材の生産ラインを、有機EL向けタッチパネルの製造用につくり替える。韓国の工場にあるクリーンルームもそのまま活用。通常であれば2年ほどかかる工期を10カ月に短縮できるほか、投資額も150億円程度に抑えられるもようだ。2018年1月までに1億台超の有機ELスマホに供給できるようにする。

 既存設備を活用することで、有機ELへの投資を進める韓国や中国のディスプレーメーカーにタッチパネルをいち早く供給できる。何より価格競争の激しい液晶部材から成長分野の有機EL部材へと、生産品目を切り替えられる。

 「20年にはディスプレー材料の(売上高の)45%を有機EL向けにする」。16年秋、住友化学の十倉雅和社長は記者会見でこんな目標を掲げた。ディスプレー材料の売上高は年3千億~4千億円。現在は液晶の光を制御する「偏光フィルム」を筆頭に液晶部材が8割を占めるが、今回増産を決めたタッチパネルやテレビ向けに開発中の発光材料など、有機EL関連の材料への移行を加速させようとしている。

 背景には2000年代半ばから同社の成長を支えてきた液晶テレビ市場の停滞がある。テレビの生産台数は世界で約2億5千万台と今でも増えているものの、近年は大幅な技術革新がなく、部材の納入単価は下がるいっぽうだ。住友化学のような素材メーカーにとって、いまや液晶部材はテコ入れの対象へと変わっている。

 一例が、年1億枚以上を生産する主力製品の偏光フィルムで着手した生産再編だ。韓国に5本ある製造ラインのうち、老朽化した1本を今年度中に停止。代わりに液晶ディスプレーの新工場稼働が相次ぐ中国の空き工場にラインを設け、17年の夏から秋をめどに現地での生産を始める。輸送費や為替リスクを極力抑えるための策だ。その偏光フィルムでも有機EL向けの開発を急いでいる。

■「液晶の次」の柱を探る

 かつてテレビやスマホに使う液晶部材の7割は日本製と言われていた。液晶市場の拡大とともに飛躍した日本の素材メーカーは少なくない。ただ、筆頭格だったJSRは液晶部材の業績悪化に苦しみ、祖業の合成ゴムに立ち返った。ガラス大手の旭硝子が16年末に塩化ビニール樹脂会社やバイオ医薬品受託製造会社の買収を相次いで決めたのも、稼ぎ頭だったはずの液晶向けガラスの収益力が落ち込んでしまったことが引き金だ。

 住友化学のようにディスプレーの世代交代の波に自ら乗るか、バイオ医薬品のような違う分野で新しい波を追いかけて活路を見いだすか。いずれにせよ素材各社は「液晶の次」の柱を探すという大きな命題を突きつけられている。(佐藤浩実)






コメントを残す