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 生産緑地法という法律をご存じだろうか。

 生産緑地法とは、1974年に、大都市圏の一部の市街化区域内における農地の宅地化を推進するために公布された法律だ。これは、指定された区域内にある農地に「宅地並み」の固定資産税を課すことで都市部に残る農地を宅地化しようと考えられたものだった。当時は都市部に押し寄せる人々の受け皿として住宅用地が圧倒的に不足していた時代。住宅用地をひねり出すために市街化区域内の農地を拠出させようというのが目的だった。

■30年間固定資産税や相続税を優遇してきた「生産緑地制度」

 ところが、これに猛反発したのがこのエリアで多くの土地を持つ地主たちだった。彼らの多くは自分たちの財産である土地を守るためには「農地」という聖域を主張し、これを維持する必要があった。そこで、区域内においてもまじめに農業をやろうとする住民に配慮して、91年3月に生産緑地法は改正になり、92年度より、生産緑地制度が導入された。この制度は自治体に申請された農地で、敷地面積が500平方メートル以上で期間中は営農に専念するなどの一定条件を満たせば、30年間にわたって固定資産税は農地扱いとし、相続税については納税猶予を受けることも可能とするものだ。

 対象となったのは、東京23区、首都圏、近畿圏、中部圏内の政令指定都市その他整備法で規定された一部の地域である。

 当時の不動産業者は、都市部の優良な土地を地主に生産緑地とされてしまうと、彼らの飯のタネである土地が売りに出なくなってしまうということで、この制度の導入にはおおいに落胆したものだった。

■東京ドーム1657個分! 首都圏に眠る土地の多くが期間満了に

 現在この生産緑地として登録されている面積はどのくらいあるのだろうか。国土交通省「都市計画現況調査」(平成26年)によれば、2014年3月末現在で1万3653ヘクタール。このうち首都圏(1都3県)で57%にあたる7747ヘクタールが該当することとなる。わかりやすくいえば、東京ドーム(約4.7ヘクタール)1657個分という広大な面積の土地が生産緑地として首都圏都市部に眠っていることになる。

 生産緑地制度導入時は「あと30年も土地は出てこないのか」と落胆したものだったが、時はたつもの。これら生産緑地の多くが2022年に期間満了を迎えることになるのだ。

 これまでは農業専門に働いてきた人たちも生産緑地にしてすでに30年がたてば、事業承継や相続の時期に差し掛かる。2022年を契機に大量の都市型農地が、生産緑地の解除を申請してくることが予想される。

 具体的には、30年を経過した生産緑地を解除する場合には、地元市町村に対して「買い取り申請」を行い、時価で買い取ってもらうのが原則だ。しかし、財政難にあえぐ自治体が多い中、生産緑地を買い取ることができる裕福なところはほとんどない。そこで自治体では他に生産緑地として買い取る人がいないか斡旋するが、該当者がいなければ、申請者の土地には宅地並みの課税が施されることになる。多くのオーナーは土地を有効活用するか、または売却しなければ、膨大な「宅地並み」の固定資産税を負担する恐怖におびえることとなる。

■あと5年辛抱すれば広々した一戸建ても夢じゃない?

 2022年以降、都市部において生産緑地が大量に不動産マーケットに登場するということは、当然地価は大幅に下がることになる。また、宅地並みの固定資産税を賄うために、アパートなどを建設して土地の有効利用を図る地主も激増することが予想される。

 2022年頃にはこれまで都市郊外部でマイホームを所有してきた団塊世代も「後期高齢者」の仲間入りをする。彼らの中には相続が発生したり、空き家になることで賃貸や売却に拠出される物件も激増しはじめるであろう。

 家を買うならこの大変革が発生する2022年以降がよい。郊外では土地も驚くほど安い値段で買うことができるだろう。今までのような狭小住宅なんかに住まずとも広々とした一戸建てがローンの負担も少なく手に入る時代になるのだ。現在の低金利や税制優遇に惑わされてあわてて買うことなんてないのだ。

 賃貸派にとっても2022年以降は天国だ。大量に供給される賃貸アパートやマンションは「借り手優位」の選びたい放題だ。

 生産緑地制度30周年は世の中の住まい方を激変させる事象となることだろう。

 これまでは結婚をして家族が増えると、もはや賃貸アパートなどで自分たちのライフスタイルにあった適当なものがなく、やむをえず人生で稼ぐほとんどのお金を住宅ローンに注ぎ込んでくそ高い住宅を買うという馬鹿げた思考パターンが繰り返されてきた。

 そうした人生とはおさらばだ。そのためにはあと5年辛抱するということにしよう。生産緑地制度万歳!

(牧野 知弘)






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