「民泊」新法案 訪日客の安全が最優先だ – 福井新聞

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 【論説】訪日外国人旅行客の宿泊の受け皿として一般の住宅を活用する「民泊」が注目を浴びている。旅行者は費用節約、家主は空き部屋利用と収入につながる。地方に外国人客が来れば地域活性になり経済効果も期待できる。政府は民泊の健全な普及へ営業基準を定めた住宅宿泊事業法案を閣議決定し指導監督に着手した。民泊はメリットも多いが、不特定多数の出入りで生活環境の悪化や住民トラブルの懸念が強く、不透明な営業実態にも切り込む。

 民泊は昨年4月から旅館業法の「簡易宿所」許可を得れば営業できるようになった。原則、住宅地では開業できず、建物の耐火基準など規制も厳しいことから、無許可民泊が後を絶たない状態にある。

 厚生労働省が昨年、民泊仲介サイトの1万5千件を調べたところ、約3割が無許可営業しており、約5割は物件を特定できず許可の有無も確認できなかった。

 個人が自宅やマンションの空き部屋を旅行客に貸して何が問題になるのか。民泊仲介サイト会社のように空き部屋を旅行者に仲介するのは法律で規制されないが、そのサイトを利用して家主の個人・団体が有料で部屋の貸し出しを継続していた場合は営業と認められ旅館業法に抵触する。衛生環境面やテロなどに備えた安全面の確保にも数々の規制がかけられており、これらをクリアしない有料貸し出しは違法なのである。

 新法案では、民泊を行う家主が都道府県や政令指定都市など自治体へ届け出れば、ホテルや旅館が営業できない「住居専用地域」での開業ができる。周辺住民にも民泊住宅と分かる標識の掲示を義務付けた。

 泊められる日数は年間180日以内で環境悪化の懸念があれば自治体が短縮を指導できる。ただこの規定に関しては、過度な規制は最小限にして民泊の実情を反映した適正な運用を求める声もある。規定違反の家主には業務・事業停止命令が下り、従わないと懲役6月以下または100万円以下の罰金が新設された。

 20年の東京五輪・パラリンピックに向け政府は外国人旅行客(インバウンド)の取り込みを成長戦略の柱の一つに据える。旅行客数も年々右肩上がりで急増し続けている。だが、宿泊施設の収容力には限界があり、有名観光地では満室が常態化、宿泊料金も高騰するなど対応遅れが目立つ。民泊への関心は高まり、仲介サイトなどの人気ばかりが先行して、法律が間に合っていない。

 建築基準法や消防法関連など課題はまだまだある。今回の法整備でどれだけ政府が柔軟に対応するか注目だ。最も重要なのは日本を訪れた旅行客が安全に快適に宿泊できることである。






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