丹南の広域観光 周遊型へ好機、連携不可欠 – 福井新聞

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 【論説】越前市の「紙の文化博物館」が今月、装いを新たにした。越前和紙の魅力を多彩な形で展示し、1500年の歴史と新たな可能性を発信している。

 隣接する南越前町では3月、JR今庄駅舎が生まれ変わった。江戸時代の今庄宿の様子や昭和30年代の鉄道ジオラマを展示。観光案内と物販機能を設けた。

 こうした施設のお披露目で行政が強調するのが「周辺施設や近隣市町と連携し広域観光につなげたい」との言葉。しかし、今のところその効果が十分表れているようには見えない。

 広域周遊型の観光は国、地方挙げて多様な組み合わせで知恵を絞っている。増える訪日外国人を地方に回し景気浮揚効果を波及させたい政府、観光振興で地方創生を図りたい自治体の思惑が背景にある。

 とりわけ福井県は北陸新幹線延伸や中部縦貫道の永平寺大野道路全通を控え熱が入る。複数市町による「周遊・滞在型観光エリア創出プロジェクト」が県内6エリアで進むほか、京都、滋賀との3府県による周遊ルート開発も始まった。

 エリアの一つ、越前市、鯖江市、越前町、南越前町、池田町は、商工・観光団体とでつくる丹南広域観光協議会が3月、推進計画を策定した。「本物の体験の追求」をコンセプトに、2022年の観光客入り込み数を15年の約2割増、700万人と設定した。

 県内を訪れる県外客は、東尋坊、恐竜博物館、一乗谷朝倉氏遺跡に集中し、それらに比べ丹南エリアは少ない。県内客も鯖江市の西山公園が突出しているほかは比較的寂しいのが現実だ。

 「4番バッターはいない。総合力で勝負」(協議会事務局)とするゆえんだが、素材はそろう。国の伝統的工芸品は県内7品目のうち越前漆器、越前和紙、越前箪笥(たんす)など5品目が丹南にある。産地を「工房群」とした「日本遺産」も申請中で、北前船寄港地(南越前町と敦賀市)、六古窯の一つ「越前焼」(越前町)を含め今月下旬の認定を待つ。

 北陸新幹線南越駅(仮称)の将来活用を見通した周辺整備や、北陸自動車道南条サービスエリアからの回遊に総合力を発揮すれば、面白い存在となるのは間違いない。国や県が財政的にも後押ししている今は、独自に行ってきた観光事業を見直す絶好機といえる。

 「一つ一つは魅力があるのにばらばら」。丹南の住民からは自虐的な言葉も耳にする。実際、他市町の観光施設への案内は質量ともに物足りない。観光パンフや土産ガイドも相変わらず市町ごとに作っている。

 観光客は行政区域を意識しない。旅の日程を延ばし、宿泊客とするためにも境界線を薄めていく5市町の本気度が問われる。






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