ツシマヤマネコ・エコツアー – 長崎新聞

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水田脇をゆっくりと歩くツシマヤマネコ=2016年10月19日午後7時ごろ、対馬市北部
水田脇をゆっくりと歩くツシマヤマネコ=2016年10月19日午後7時ごろ、対馬市北部

 対馬だけに生息する国の天然記念物ツシマヤマネコは、約100匹しかいないとされ、絶滅が危ぶまれている。このため島民でも野生のヤマネコを目撃したことがある人はごくわずかだ。その姿を直接観察してもらうことで、人との共生の道を探る機運を高めようと、島民がヤマネコの生活圏を守るルールを作成し「エコツアー」に取り組んでいる。

 昨年10月の夜、島北部の水田。「いた」。ツアーガイドで写真家の川口誠さん(43)が約50メートル先を見てささやいた。ヤマネコを驚かさないよう車でゆっくりと近づく。背中を丸め、稲の根元付近を歩いている。柔らかそうな毛の質感や独特の斑点、筋肉の動きまで分かる。約30分の観察。誠さんは「自然の中のありのままの姿を見られるのが面白い」と話す。

 エコツアーを企画したのは、誠さんの義姉の川口幹子(もとこ)さん(37)。自然体験プログラムを企画、発信する「対馬グリーン・ブルーツーリズム協会」事務局を務め、市の島おこし協働隊の経験がある。幹子さんによると、ヤマネコは水田のカエルや野鳥などを餌にしており、過疎化が進んで耕作放棄地が増えれば餌場が失われるという。

 幹子さんは「実際にヤマネコを見ることで保護について考えるきっかけになる。ヤマネコを目的に観光客が訪れるようになれば地域も元気になる。人々の暮らしの中でヤマネコが育まれる環境をつくりたい」と話す。

 そんな思いに共感し、ガイドを引き受けたのが誠さん。専門学校卒業後、長年、環境省対馬野生生物保護センターでヤマネコの飼育に携わった。

 誠さんによると、ヤマネコと遭遇する可能性が高いのは8〜10月。誠さんは10年ほど前から早朝に水田に通い、ヤマネコのふんや狩られた野鳥の羽根などから縄張りを把握し、その姿を捜してきた。だがヤマネコは警戒心が強く、初めて自分の目で確認するまで2年かかったという。

 だからこそエコツアーで生息場所が特定され人々が殺到すれば、姿を消してしまうのではないかと不安を抱いた。

 このため、幹子さんはエコツアーの先進事例を参考に環境省の助言も受けながら、生活圏を侵さないルールを作った。参加者は必ず1時間以上、減少要因や保護の必要性について講習を受け、生息現場にはガイドの誠さんが同行する。探索には手持ちのライト1個を使い、見つけてもむやみに追わない。写真撮影時のフラッシュは禁止。水田や水路などの生活圏にも入ってはいけない。

 昨年のツアー参加者は十数人。対馬野生生物保護センターの佐藤大樹(ひろき)首席自然保護官は「参加者が大幅に増えれば人数制限などが必要になるかもしれないが、今ぐらいなら心配ないだろう」と話す。「昨年は交通事故で8匹が死んだ。ヤマネコを身近に感じることで、安全運転や保護活動への理解につながってほしい」と期待している。






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