産官連携、DIYで地域活性化 「団地丸ごとDIY」プロジェクト始動 – ペイント&コーティングジャーナル CoatingMedia Online

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人口の流出や少子高齢化で活気が失われていく街をDIYを通じて活性化させようという地域再生プロジェクトがスタートした。都市再生機構(UR)と大阪市大正区(筋原章博区長)、DIY販売サイト「壁紙屋本舗」を運営するフィル(大阪市大正区、濱本廣一社長)の3者共同による「TAISHO☆UPプロジェクト」は、巨大団地を丸ごとDIY可能賃貸とし、そこに集う人々を通じて地域の活性化につなげる新たな取り組み。ここではペイントが業界人の常識を打ち破るかたちで登場する。

プロジェクトの舞台は大阪市大正区にある「千島団地」。URが昭和47年に供給を始めた、住戸数2,236のマンモス団地で、今後募集するすべての住戸をDIY可能賃貸にするという国内初の取り組みだ。

URは賃貸ニーズの多様化を受け2011年からDIY賃貸の供給を開始。構造躯体や配管・設備などに影響のない範囲であればDIYで自由な住まいづくりを楽しめるというもので、間取り変更や内装の大胆な意匠変え、造りつけ家具の設置などさまざまなDIYが行われている。原状回復の義務がない上、当初3カ月間はDIY期間と想定して家賃フリーなどの特典もある。

現在、全国の60団地・約300戸でDIY賃貸を展開しているが、各団地で数戸程度のためインパクトが弱く、実稼働は6割程度に止まっているのが現状。今回、団地を丸ごとDIY可能にすることで集客力を持たせ、「若い世代が集まる団地にしたい」(UR西日本支社長・西村志郎氏)との狙いがある。

千島団地の空室は現在約100戸。高度成長期に建てられた他の団地と同様、高齢化も進んでいる。活気が失われつつある団地の再生をDIYに託す。

一方、大正区も地域活性化の起爆剤にしたい意向。平成元年に8万1,116人あった区の人口は平成26年には6万6,421人に減少、「大阪市24区の中で最も人口が少なく、かつ唯一減少している区」(筋原区長)で、人口流出を止めるのが最重要テーマ。

筋原区長はその解決に向けてDIYを重要な手段に位置づける。

これまで区の取り組みとして、空き家をDIYで再生するリノベーションスクールを開講。若い人たちの入居を誘導し、ゲストハウスや店舗として起業するなどの実績が増えてきている。また、ものづくりしたい人たちを呼び込むため町工場をオープンファクトリーにするなどDIYをキーワードとした取り組みを積極化。「これまで年間に800人ずつ減少してきた人口が、今年4月~9月の上期で初めて150人プラスに反転した」と、人口流出阻止へのDIY効果が表れてきている。

「(巨大な)千島団地の活性化はそのまま大正区の活性化にもつながる」とこのDIYプロジェクトに全面的に賛同。地域住人や地元商店街との調整、イベント協賛の予算確保など行政として万全のバックアップ体制を敷いた。

世界にひとつ、私だけのペイント

そしてこのプロジェクトのキーになるのがフィルだ。DIYグッズの人気販売サイト「壁紙屋本舗」を運営する同社はDIYの楽しさを余すことなく伝え、近年のDIYブームを牽引している中心的存在。DIY行政を進める大正区、DIY賃貸を展開するURともアドバイザー的な役割を担っており、3社のトライアングルが実現、今回のプロジェクトが進むことになった。

フィルは千島団地内に「壁紙屋本舗ラボ」を開設した。ラボには同社のスタッフが常駐し、DIYに関するあらゆるアドバイスを行う他、電動工具やツール、作業台などを備えた工房も設置、自由に利用できる(使用料240円/時間)。また、壁紙の貼り方や塗装のワークショップも随時開催するなど、この施設があることによってDIY実行への環境が各段に高まる。まさしく”DIY団地”の象徴的な拠点。

そしてこのラボの目玉に据えているのが塗料をその場で調色して提供する「PAINT LAB」コーナーだ。その調色の方法が業界人の常識を飛び越える。

LABのカウンターには白ベースを充填した0.5L~4Lのインテリアペイントが整然と並べられている。その白ベースに原色を滴下してリクエストされた色を作るが、それに用いる道具はなんとスポイト。どの色にどの原色を何グラムといったレシピも用意しているが「機械のような精度は初めから求めていません。だからこそここで作る色は世界に1つだけの色。お客さんに原色を入れてもらっても面白い」と濱本社長。このカジュアルさ、遊び心が生活者の心をくすぐり多くのDIYファンを生み出しているのは間違いない。

壁紙へのこだわりで成長した同社でありながら「ここは壁紙とペンキのラボでもある」というように、面白いこと、楽しいこと、カッコいいことの前では考え方はとてもニュートラル。ラボではエイジング塗装のワークショップなど「ペンキのカッコよさ」も伝えていく。

DIYのエネルギーが社会を変える

「TAISHO☆UPプロジェクト」と名付けられたように、大正区を魅力あるエリアに再生し、活性化するのがプロジェクトの目的。「賃貸住宅でありながら自分らしさを表現できる暮らしが実現することで住まいや地域に愛着が湧き、生活感度の高い人たちが集まってくることで新たな魅力あるコミュニティを形成、地域を活性化させる」というのが3者に共通した思い。

筋原区長は「DIYを好きな人たちは”暮らしを楽しむ”エネルギーにあふれている」と表現する。そのエネルギーを地域活性化に導いていこうとする今回のプロジェクトは空き家や空室、地域再生といった社会的課題にまでDIYの有効性を示すことになるかもしれない。その有望な市場に塗料をフィットさせているのが”壁紙屋本舗”という現実。






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