コープ・アイランド日本 協同教育 急がば回れ 明治大学副学長 柳澤 敏勝 – 日本農業新聞

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柳澤敏勝氏

 協同組合が周知の通り昨年11月30日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。協同組合はコミュニティーづくりに貢献しているだけでなく、雇用や社会的排除への対策などさまざまな社会問題に取り組み、解決している。だから、協同組合は「文化の多様性および人類の創造性に対する尊重を助長するもの」なのだ。これが登録の理由である。
 

世界潮流と逆行

 「協同組合の発展に支援的な環境づくりを目指したガイドライン」と題する2001年の国連決議、あるいは14年国際協同組合年に表現されるように、協同組合に対する国際社会の信頼は今世紀に入ってますます高まっている。ところが日本では、世界の動きに逆行するかのように、JA全農の株式会社化やJA全中の解体など、あるいは少し前には自主共済の解散など、あろうことか、協同組合は要らないとする時代錯誤の論調や政策、無理解がまかり通っている。

 日本には現在、協同組合加入者が延べ6500万人もおり、世界の協同組合人口10億人の6・5%を占める(17年4月現在、国際協同組合年記念協同組合全国協議会調べ)。日本の人口は世界人口74億人のわずか1・6%にすぎない。それが6・5%である。日本を協同組合の島、コープ・アイランドと呼ぶ人もいるが、数だけ見れば決して誇張ではない。

 

幅利かす不要論

 これだけの一大勢力でありながら、では、なぜ協同組合不要論が幅を利かせるのか。それは、社会的に見て協同組合が存在しないに等しいからである。ある調査によると、多くの国民は農協や生協などの存在を知ってはいるが、それらを協同組合だとは理解していない。協同組合の認知度が低いのである。

 協同組合でありながら協同組合とは認識されていない以上、協同組合は人々の間では協同組合ではないことになる。一大勢力でありながら、世の人々の意識においてはないに等しい。その限りで言えば、日本の協同組合は社会的な存在として自らを顕在化させることに成功していない。

 とすれば、今回の農協解体の動きを招いた一因は、協同組合の側にもあることになる。協同組合の味方が多ければ多いほどこうした暴挙が許されるはずもない。共益組織の枠に甘んじ、殻に閉じこもり、世の人々の間に応援団を育ててこなかった結果だとも言える。

 国際協同組合同盟(ICA)の第5原則「教育、研修および広報」に一般の人々、特に若者やオピニオンリーダーに協同の本質と利点を知らしめることが盛り込まれている。その作業の怠慢の付けが今回の事態となって現れたとも言えよう。教育の意義を軽視してはならない証左でもある。一見遠回りに思える教育ではあるが、急がば回れ、である。

<プロフィル> やなぎさわ・としかつ

 1951年まれ。92年明治大学商学部教授。2016年から同大副学長。13、14年、日本協同組合学会会長。著書に『非営利・協同システムの展開』(共著)、『社会的企業』(共訳)など。社会的連帯経済、社会的企業などを研究中。






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