沖ノ島世界遺産 守ってこそ価値がある – 北海道新聞

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 福岡県の「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産への登録が決まった。

 沖ノ島では古代、海上の安全を祈る国家的祭祀(さいし)が行われた。東アジアの交流史を語る遺物が多く出土し「海の正倉院」と呼ばれる。

 島を中心に、8資産の価値が世界に認められたことを喜びたい。

 登録は人類共通の遺産の継承が目的だ。一方、遺産の登録地は地域振興に役立てたいと希望する。

 守り伝えられた価値を損なわずに、どう生かしていくか、知恵を絞る必要がある。

 沖ノ島は、九州と朝鮮半島の中間に位置する。古墳時代から平安初期にかけ、大陸への航海の無事を祈る祭祀が行われたとされる。

 神が降りたという巨岩と遺跡が残り、奉献品8万点(国宝)が出土した。島全体が“ご神体”で、女人禁制。本土の辺津宮(へつみや)などとともに宗像大社を構成する。

 ユネスコの諮問機関は有人域の資産を除くよう勧告したが、世界遺産委員会が信仰継続における役割を認めて、一括登録となった。

 特徴は、信仰の場であるがゆえの徹底した入域制限にある。

 これまで一般市民が上陸できる唯一の機会は現地での大祭だったが、登録を受け、宗像大社は、大祭参加者の公募中止を決めた。

 入域制限の緩和を求める声も出てくるだろうが、人を拒むことで島が価値を守ってきた経緯と、保全という世界遺産登録の趣旨を忘れてはならない。

 上陸できない沖ノ島の魅力を伝えるためには、有人域の資産の活用を考えるべきだ。

 辺津宮には、出土品の展示施設がある。大島には最近、ガイダンス施設も開館した。仮想現実(VR)を使った古代世界の疑似体験なども有効ではないか。

 静かに見守ることの意義を理解してもらう工夫が大切だ。

 国内の世界遺産は21件目で、世界では千件を超えた。保全に重心が移り、新規登録の壁は高い。

 道などは世界文化遺産登録を目指し、月内にも「北海道・北東北の縄文遺跡群」の国内推薦に向けた文化庁の審査に臨む。

 挑戦は5回目で、北黄金貝塚(伊達市)など17遺跡について、推薦書原案を練り上げてきた。

 ここは1万年にわたり、武器を持つことなく人々が共存した、世界でもまれな地域と言われている。平和な暮らしを支えた豊かな海や森とともに、しっかりアピールしてもらいたい。






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