3万匹を放出。遺伝子組み換えした蛾が農産物を守る|ギズモード … – ギズモード・ジャパン

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3万匹を放出。遺伝子組み換えした蛾が農産物を守る 1
Image: Wikimedia Commons

これぞ大放出。

コナガは大きさ6mmほどの蛾です。それでも大きさに見合わない食欲で、メキャベツ、ケール、カリフラワーをもりもり食べてしまうことで、農家にとっては悩みの種となっています。

今週アメリカ合衆国農務省はこれの解決策になり得る、遺伝子組み換えコナガの実地試験に許可を出しました。使われるコナガは遺伝子操作により、徐々に死にゆく特別な遺伝子を含んでいるんです。実地試験はアップステート・ニューヨークの小さな区域で行なわれる予定で、アメリカでは遺伝子操作された昆虫が野生に放たれるのはこれが最初になります。

実は1950年代から使われてきた方法だった

コナガはイギリスのバイオテック企業Oxitecにより遺伝子操作されたもの。この会社は昨年話題になった、フロリダキーズに遺伝子操作した蚊を放ちジカ熱と戦おうとしていた、あの会社です。そのときは遺伝子操作された雄の蚊が、野生の雌の蚊と子どもを作ったときに、その子どもが雌の場合、大人になる前に死んでしまう遺伝子が受け継がれます。今回のコナガに対しても、蚊の時と似たアプローチが使われています。

この方法は実は新しいものではありません。農業害虫に対して1950年代から使われてきた「不妊虫放飼」という方法のバリエーションのひとつです。これは放射能を使いラセンウジバエのような昆虫に子供をきちんと作れなくしたもので、1982年にはこの殺虫剤に変わる方法を使って、ラセンウジバエはアメリカから根絶やしにされました。レイチェル・カーソンの『沈黙の春』では、このアプローチは農家が農作物を守るために、危険で有害な殺虫剤使用に変わる解決法であると提唱しました。しかし問題もありました、この方法はすべての昆虫には効かなかったのです。大抵の場合、交尾のライバルとして元気な野生の昆虫が居る中で、放射能を浴びた昆虫は単に弱った状態で勝ち目がありませんでした。

1週間で3万匹のコナガを放つ!?

コナガは農家にとってかなりの問題です。しかもこの蛾はこれまでの殺虫剤に耐性をつけ始め、問題は大きくなる一方です。コナガが毎年世界でアブラナ科の作物に与える被害は50億ドル(約5700億円)であるとされています。実験室とグリーンハウスでの試験では、遺伝子組み換え蛾は全体の蛾の数を効率的に減らすことができたと報告されています。しかし、野外でどうなるかまだ見極める必要があります。

これから行われる実地試験では、ニューヨークのジェニーバにあるコーネル大学が所有する10エーカー(約4万平方メートル)の土地に遺伝子組み換え蛾が放たれ、コーネル大学のチームがこれを監視します。

この実地試験が環境にも人にも影響を与えないであろうという検討結果が出た後、米合衆国農務省は1週間で最高3万匹までの蛾を数ヶ月に渡り放つ許可を出しました。作物に被害を与えるのはコナガの幼虫なので、この実験で放たれる大人の雄のコナガは作物に被害を与えることはありません。また、農務省に出された報告によれば、蛾が生き残ったとしても殺虫剤により死ぬか、ニューヨークの厳しい冬の寒さで死ぬだろうとされています。

Oxitecは、遺伝子組み換え蚊の試験も諦めていない

遺伝子組み換えされた蚊をフロリダキーズに放つという計画は現地で怒りを買いました。当初米食品医薬品局からゴーサインが出たものの、この計画は現地で住民投票により行き詰まり、実験に別の地域を探さなければならなくなっています。

アップステート・ニューヨークでも、ここ数年間議論になっているGMO(遺伝子組換え作物)問題をムシ返してはいるものの、同じ規模の反発は受けていないよう。農務省での承認手続きも食品医薬品局の時とは違いだいぶ素早いものでした。

また、遺伝子組み換え蚊をブラジル、グランドケイマン、パナマで放っているOxitecですが、未だにフロリダキーズでの実地試験も諦めていないよう。Oxitecは12月には西オーストラリアで遺伝子組み換えチチュウカイミバエを実地試験する予定だとも発表しています。同社はオウトウショウジョウバエやオリーブミバエなど他の農業害虫の遺伝子組み換えにも取り組んでいるようです。

Image: Wikimedia Commons

Kristen V. Brown – Gizmodo US[原文

(abcxyz)

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