庄内で中速鉄道構想/フル新幹線見直す時期では – 河北新報

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社説

庄内で中速鉄道構想/フル新幹線見直す時期では


 「膨大な費用と長い年月を要するフル規格の羽越新幹線より優位性が高い」−。酒田市などJR陸羽西線(新庄−余目間)の沿線自治体でつくる陸羽西線高速化促進市町村連絡協議会が、「中速鉄道」による山形新幹線の庄内延伸を提唱し始めた。
 具体的には、ミニ新幹線方式の山形新幹線が使っている車両や在来線のレールを改良。「中速鉄道」にバージョンアップした上で、陸羽西線の軌道沿いに余目付近まで約50キロ延長するという構想だ。
 沿線地域では、急速に人口減少が進んでいる。低コストで、しかも短期間に整備可能な選択肢があれば、フル規格新幹線にこだわらず、柔軟に検討してしかるべきだろう。
 協議会の依頼を受け、整備費用などを試算する交通コンサルティング会社「ライトレール」(東京)は、揺れに強い低重心車両の導入や急カーブの改良などによって、東京と庄内地域を2時間40分台で結ぶことが可能で、費用もフル規格新幹線の数分の1で済むとしている。
 「中速鉄道」は、まだ国内では耳慣れない言葉だが、欧州や中国、インドなどでは鉄道の速達性を高める上で、広がりつつある考え方。日本とは異なり、高速鉄道の技術開発の過程で実用化が進み、広く普及するようになった。
 明確な定義はないが、最高時速130キロ未満の在来線と250キロを超えるフル規格新幹線の中間の速度で都市間を結ぶ鉄道を言う。国内では上野−成田空港間を結ぶ京成電鉄のスカイライナーが該当するという。
 既設路線と整備計画路線を合わせたフル規格新幹線の総延長は現在、約3300キロ。北海道新幹線の青森−札幌間など現在の整備計画路線が2040年ごろに全て完工するとしても、1960年からこれまでの整備速度は年平均約40キロにすぎない。
 このペースを当てはめれば、国が73年に基本計画決定した羽越(富山−青森間)、奥羽(福島−秋田間)両新幹線は、今後、順調に整備計画に格上げされたとしても、完成は2080年、実に63年後になる計算だ。
 本来なら羽越新幹線の整備促進を訴えるのが自然な酒田市などが、中速鉄道を提案しているゆえんである。
 山形県の吉村美栄子知事はフル規格での羽越、奥羽両新幹線実現を公約に掲げ、県内自治体や経済団体に呼び掛けて整備実現同盟を設立。精力的に各方面への要望も重ね、整備計画への格上げを巡って競合する山陰、四国との競争を勝ち抜こうとしている。
 しかし、関係自治体には、整備費の地元負担に加え、並行在来線の維持や通過駅になることでのまちづくりへの影響を懸念する声も根強い。
 新幹線が果たして時代に合った高速交通なのか。地域づくりとの関係からも見直すべき時期に来ている。

2017年08月12日土曜日






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