訪日客の「知りたい」に応えます 専門メディアが活況 – 日本経済新聞

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 一時は停滞を危惧されたインバウンド市場だが、訪日外国人数は順調に増加している。2017年4~6月期の旅行消費額も1兆776億円と過去最高となった。中国人の爆買いはやや落ち着きつつあるが、逆にツアーから個人旅行にシフト。滞在費全体で見るとイギリスやイタリアが中国を超えるなど、買い物、食事、体験のニーズの多様化も進んでいるようだ。

訪日リピーターが増加するなか、メディアの役割は大きくなっている(LIVEJAPANの画面)

 訪日リピーターも増加するなか、一般的に知られた観光地では満足しない層も増えている。受け止める側の自治体や観光産業も、ツアーに組み込んでもらったり、買い物クーポンをばらまいたりといったこれまでの施策では対応できなくなっている。インバウンド産業として複雑化していくニーズにどう応えるかが課題になりつつある。

 こうした背景を踏まえて注目されているのが、インバウンド向けのメディアだ。個人旅行を楽しむ外国人が旅の前の情報チェックや旅行中のアクティビティーの決定などにあたり、ネットのメディアは重要なツールになりつつある。

 16年4月にぐるなび、東京急行電鉄、東京メトロなどが立ち上げた首都圏のインバウンドメディア「LIVEJAPAN」は1年ちょっとですでに8カ国語で1045の記事コンテンツを擁する。利用者は月間150万人(ユニークユーザー=UU)と順調に増やしている。

 その名前の通り、リアルタイムな情報を売りにし、外国人たちにタイムリーな情報提供を目指している。現在はその趣旨に賛同する企業が続々と加わり、全37社・局が協力してサイトを運営している。インバウンドニーズを確実に受け止めるために日々どんなコンテンツが見られているかを分析し、各社局の担当者が集まる勉強会なども活発に開催しているそうだ。

 14年に立ち上がったMATCHA(マッチャ)も9言語で150万UUを超えるサイトに成長している。20~30代の個人旅行客をターゲットに、ユニークなコンテンツを配信している。

 「日本ではビールの注ぎ方が泡をわざと作っていたり、冬でも冷えていたりします。特殊なので戸惑わないように」というような記事などが興味深く見られていたり、交通ICカードのSuicaの使い方などのハウツーものが人気のようだ。旅行前に見られることが全体の約8割を占め、訪日前の旅行客に確実にリーチできることが評判を呼び、先日は星野リゾートが資本参加するなど注目されている。

 MATCHA代表の青木優氏によると、オニツカタイガーの依頼で製作した記事はフェイスブックなどで1.7万人が反応し、800人のコメントが集まり商品の販売数が例年の2倍近く増えたという。「投資対効果が見える実績も出てきている」という。

 また「やさしい日本語」という初級の日本語で読めるコンテンツも用意している。「日本に興味のある人たちを早い段階からひきつけることも可能」と、コンテンツ面でも様々な工夫をしている様子が見られる。

 スマートフォン(スマホ)を持ち歩く旅行者の行動データを捕捉し、的確なターゲティング広告を配信することも可能になりつつある。旅前に見ていたコンテンツや旅中のGPS情報をもとにアドネットワークに配信することを可能にしているVponは中華圏などに配信可能だ。MUJIなどが活用し、旅行中の訪日客を店舗誘導することに成功しているという。

 このように、今までは捉えることが難しかった訪日外国人へリーチするためのメディアが増えてきている。今後はよりターゲットを絞ったような特徴的なメディアが次々と出てくるだろう。

 我々が想像していなかったような場所などが外国人には受けることも多い。隠れたニーズをしっかり分析し、新しい観光資源を発掘・開発していくことは重要だ。メディアに蓄積される行動データは日本全体としての貴重な資産ともいえる。

藤元健太郎

 1991年に電気通信大情報理工を卒業後、野村総合研究所に入社。99年にフロントライン・ドット・ジェーピーを設立し社長。2002年からD4DR(ディー・フォー・ディー・アール)の社長を務める。インターネット販売やマーケティングなど各種ビジネスのコンサルティング、調査研究を進めている。

[日経MJ2017年9月8日付]






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