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野洲市住民投票が不成立 投票率向上へ工夫必要

湖南総局 堀田真由美

投票率が5割に満たず、不成立となった野洲市の住民投票。開票は行われなかった(野洲市辻町・市総合防災センター)
投票率が5割に満たず、不成立となった野洲市の住民投票。開票は行われなかった(野洲市辻町・市総合防災センター)

 11月26日に実施されたJR野洲駅南口での市民病院整備計画の是非を問う野洲市の住民投票。投票率は48・52%と成立要件の50%に届かず、開票は行われなかった。近年行われた住民投票は、低投票率に終わるケースも多いという。あらためて住民の関心を高める工夫の必要性を感じた。

 市民病院計画は、市が中核的医療施設と位置付け財政支援を続けてきた民間の野洲病院の経営継続が困難になったことから、2011年に市が検討を開始。アクセスのよい野洲駅南口市有地に公立病院を整備する方針を固めた。市議会では市民病院の収支見通しや事業費の増加、立地などを巡って賛否が拮抗(きっこう)。病院の関連予算案は15年5月からこれまで6度否決されている。

 住民投票は、対立が深まった議会の状況を打破するために反対派市議が提案して17年9月に実施が決まった。だからこそ、一票を投じた市民の声を聞き、長引く問題の決着を図れなかったことが残念だ。

 野洲市の住民投票は、市民への情報提供の面で課題を浮き彫りにした。病院経営という難しい事案を判断する上で、提供される情報は限られていた。市選管は住民投票広報を発行したが、中立的な立場のため病院問題の概要や経緯など客観的な情報を伝えるだけにとどまった。市議会派や住民団体はビラを発行し、それぞれの意見を伝えたが、双方の意見を聞ける討論会などは設けられなかった。

 10月22日に市議会が改選されたことも大きかった。賛成派市議が過半数を占めたことから、市民の中には「住民投票の結果に関係なく病院建設が進むと考え、投票に行かなかった人が多かったと思う」(80代男性)などの意見も目立った。

 住民投票を研究する佛教大の上田道明教授(地方自治論)によると、「近年では住民投票自体が珍しくなくなり、低投票率に終わるケースは増えている」という。多数の意見を採用するため、野洲市の様に投票率に縛りをかけているケースも多い。

 今後、住民投票を実施する自治体では投票率を上げるための工夫が必要となるだろう。その中でも丁寧な情報提供は欠かせない。市や議会が主導して討論会を開くのも一つの方法。インターネットなどを活用して双方の意見を比較し、市民が自由に質問できる場があってもよかった。市議それぞれが賛成・反対の主張を伝えるだけでなく、市議会として市民と課題を一緒に考え、関心を高めていく視点が必要だと感じた。

 市議会では、開会中の12月定例会に病院関連予算案が提案されている。不成立が決まった直後、市議会の最大会派「新誠会」の橋俊明代表は「(低投票率は)議会への批判もある」と話した。費用約1600万円をかけた住民投票を全て無駄にしないためにも「不成立」という結果を真摯に受け止めたい。その上で、歩み寄った議論ができないか。議会の姿勢に注目したい。


[京都新聞 2017年12月6日掲載]


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