「ONIBUS COFFEE」が愛される理由を探ってきた。 – ガジェット通信

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「ONIBUS COFFEE」が愛される理由を探ってきた。

お店の名前でもある「ONIBUS」は、コーヒー大国ブラジルの公用語ポルトガル語で「公共バス」「万人の為に」という意味なんだそうです。

今回、私がインタビューを熱望したのは「ONIBUS COFFEE」のオーナー、坂尾篤史さん。初めてお会いしたのは、2017年の春。仕事でブラジルのコーヒー農園を見てきて帰国したばかりの頃でした。ちょうどそのタイミングだったので、名前の由来を知ったときは、コーヒーとそれに関わる人々への深い想いを感じたのを覚えています。「ONIBUS COFFEE」が愛される理由を探ってきた。

大工で培った
職人スピリッツ

─── まず、ちょっとビックリしたんですが、このクッキー、数日前テレビで紹介されているのを見ました! 実はあとで買いに行こうと思っていたんですが、まさかここで出会えるとは…。

「このクッキーを作っているの、僕の友だちなんです。『SAC about cookies』っていうお店なんですけど。訪日韓国人の間で、このクッキーをうちのコーヒーカップに乗せてインスタグラムを撮るのが流行っている、ってワールドビジネスサテライトで紹介されたんですよね」「ONIBUS COFFEE」が愛される理由を探ってきた。

─── 今日も来ているお客さんのほとんどが外国人ですが、どうして「ONIBUS」はこんなに外国人の間で人気になったんですか?

「韓国・中国は、有名なインスタグラマーやインフルエンサーの人たちが紹介してくれたことがきっかけですね。アメリカ人はニューヨークタイムズで、ヨーロッパ圏の人たちはMONOCLE(モノクル)で取り上げてもらってからです。オーストラリア人はけっこうクチコミだったりしますね」

─── ニューヨークタイムズですか! すごいですね。でもクチコミで広がるのって嬉しいですよね。本当においしいからこそ、ですもんね。こんなに世界中から人がやってくるお店になるまで、いろんな苦労もあったかと思うんですが、坂尾さんは最初からコーヒーショップをやりたいと思っていたんですか?

「僕はもともと大工だったんです。父が職人だったんですよね。なので、将来は建築の学校に行って跡を継ぐのかなって思っていました。専門学校を卒業してゼネコンで働いたあと、実家へ戻って父のもとで大工として働いていました。でも東京から実家の千葉に戻ったので、だんだんつまらなく感じてしまって…。とは言っても跡を継ぐために戻ってきているので辞めるとは言いづらく、『バックパックに行って来る』という口実で家を出ました。そこでコーヒーに出会ったんです」「ONIBUS COFFEE」が愛される理由を探ってきた。

バックパックで
コーヒーの概念が変わった。

─── 職人さんだったんですね。コーヒーを作る・淹れるというのも職人技ですからね。坂尾さんには、実はずっと前から職人気質の基礎と原点があったのかもしれないですね。ちなみに、そのときはコーヒー飲んでました?

「建築業って、10時と15時に缶コーヒーを飲むカルチャーがあるんですよ。だから当時は缶コーヒーくらいしか知らなかったですね。それで不思議なことに、みんなこだわりがあるんですよ。◯◯さんはこのメーカーのこの種類じゃなきゃダメ、とか(笑)。それぞれお気に入りがあって、同じものをずっと飲んでましたね。僕もダイドーのちっちゃいやつを飲んでいました」「ONIBUS COFFEE」が愛される理由を探ってきた。

─── こんなにセンス溢れるコーヒーショップを立ち上げた人が缶コーヒー派だったとは…なんだか少し親近感が湧いちゃいますね。そんな職人さんが、なぜコーヒーに目覚めたんですか?

「バックパック中に、オーストラリアで本当においしいコーヒーを飲んでからですね。その頃スターバックスが東京に進出してきたばかりでしたが、デートスポットのような感じで流行っていたんです。でもオーストラリアのカフェって、毎朝行って、コーヒーを買って、ちょっと話をして、それから会社へ行く、っていう毎日の生活の起点という感じでした。人が集まって何か新しいことを始めるきっかけになる起点・場所っていいなと思って、日本に帰ったらそんなカフェを作ろう、って思ったんです」

─── それで日本に帰ってきて、まずは修行として「Paul Bassett」に入ったわけですね。もしもそのとき、流行っていたスターバックスとかを選んでいたら、今頃どうなっていたでしょうね。あと、最初からロースターも一緒になったカフェにしようって決めていたんですか?

「いや〜、Paul Bassettに入ってよかったです(笑)。すごくしんどかったんですけど、あそこには焙煎も入っていたので、最初から焙煎があることにしっくり馴染めました。だいたいコーヒーを淹れていると、おいしくないときも出てくるんです。すると『これは焙煎してる人のせいだ!』なんて思ったりするものです。自分の店をやるなら、一貫して自分で責任を持ちたいなと思っていて…。今だと、店で使う豆を作っている農園まで足を運ぶようにしています」

─── そう! そうなんですよね。坂尾さんは実際に農家さんに会いにいくんですよね。私がブラジルの山奥の農園へ行ったとき、そこの人たちが「あ、あなた日本人か。じゃぁ長谷川さん知ってるか」なんて言うんですよね。長谷川さんって急に言われても…と思いつつ、あとで調べてみたら、豆の買い付けに来ている大きな会社の方だったみたいで。「日本人ははるばる遠くから来て、値切ることなくお金を払ってくれるからすごい」って言っているのを聞いて、なんだか私まで嬉しい気持ちになりました。でも、商社の買い付けではなく、直接豆を使っているカフェのオーナーがその農園に行く、っていうのはまだ珍しいほうなのかな、と。

「でも最近は増えてますよ。僕も最初はわからなかったので商社さんから豆を買っていたんですが、だんだん商社にいた方が個人で始めたりしていて、その方から買うようになって、僕も一緒に豆を買いに行くようになったんです」「ONIBUS COFFEE」が愛される理由を探ってきた。

いまは、土が気になります。

─── 実際に農園に行って、生産者に会ってみて、どうでしたか?

「やっぱり今まで知らなかったことに気づけるし、日本にいると豆の粒ってほとんど見ないんですよね。だからいまいち「食材」っていう感じがしないんですよ。でも現地に行くと土があって、木を育てていて、そういうのを目の当たりにすると、やっぱり食物なんだなって感じます。コーヒー文化が進んでいる北欧の人たちなんて、土壌の菌まで気にしてますからね」

─── そこまで行ってますか! もうコーヒーが生まれる前のところから見てるんですね(笑)。確かに土からすべてが始まるわけですからね。北欧の人たちも南米まで行って土を見てるってことですよね?

「そうです。土を見て、何が足りないのかとか、それが土の微生物なのかとか、ミミズが…とか、土の温度がああだ、とか(笑)」

─── 少し前までは、カップの中にあるコーヒーがおいしいかどうかだけの世界だったのに。坂尾さんも土、気になりますか?

「むっちゃ気になりますね! やっぱり最終的には土ですね。ただコーヒーってあくまでも先進国で飲まれているものなので、それをやっていくと結局先進国が研究などで絡んでくるじゃないですか。そうなるとコーヒー1杯の値段が上がっていってしまうから、どうなるかな〜て思ってますけどね」

─── コーヒーの値段って上がってますか?

「上がってます、すごく」

─── それは、気候などの変化で今年は例年よりも収穫が良くなかったから上がっているのか、コーヒーブームで消費が増えて値段が釣り上がっているのか、どっちですか?

「釣り上がっていることもあるんですが、僕らのニーズもどんどん上がっていて良いものを求めるので、農家さんにも『こういう品種でこうしたらどう?』とか提案するんですけど、そうするとちゃんとやってくれるんですよね。そうなると自然に施設とか人件費が高くなるので、コーヒー自体の値段も上がっていく、っていうことがあります」

─── コーヒー業界って、少し前まではおいしいかどうかっていうところが論点だったのに、今はこうして豆を作っている農家さんと実際に話をして豆の品質を改善していくというところまで来ていますが、次のステップとしてはどこへ向かっていくんでしょうか。

「僕たちとしては、自分たちのブランドコンセプトをしっかりと体現していくっていうことが1番ですね。もちろんクオリティは大前提なので、サービス面でもコミュニケーションをを大切にして、自分たちがどこまで農家さんたちとコミットメントできるか、それを還元するための仕組みを作れるか。あとは働きやすい環境を作って、いい社員さんを残していきながら安定的なビジネスを進める、という流れなのかなと思っています」「ONIBUS COFFEE」が愛される理由を探ってきた。

この1年で
職場環境を変えました。

─── 良い職場環境作りが、多方向に良い循環を生む、ということですね。

「そうですね。コーヒー業界だけじゃなくて、良い職場環境って日本の課題じゃないかなと思います。職場環境をしっかり整えていったところだけが生き残っていくのかもしれないですね。ONIBUSも実は、今年1年かけて職場環境を変えました。社員さんの働く時間を減らして給料をあげて、夏休みを10日間しっかり取れるようにしたんです。来年は有給休暇を20日間設けて、しっかり消化しようと決めました。僕が知るかぎり、コーヒー屋さんってこういう制度がまだ少ない印象なので」

─── 実践されてるのが素晴らしいですね。

「ありがとうございます。そこからさらに、農家さんの支援と社会貢献をしつつ、うちが掲げる『人と人とを繋げる』『生産者とチームとお客さんの向上』『コーヒーを通して生活に感動を与える』っていう3つのフィロソフィーを、今まで以上にそれぞれの分野で高めていけるような環境づくりを目指していくことが、東京で1番のコーヒー屋さんになるっていうことなのかなと思います」

─── 最後に、ひとつ教えて欲しいことがあるんです。最近、自分で淹れるコーヒーがなぜだかおいしくないんですよ…。なので、お恥ずかしい話なんですがカップに乗せるインスタントのドリップを飲んでるんです。あれなら簡単だし味がブレないので。何をどうしたら自分で淹れるコーヒーがおいしく改善できるんでしょうか。シャビシャビなんですよ、もう(笑)!

「(笑)。挽きの細かさの調整がブレてるんじゃないですかね? 細かく挽いてみたら良くなるかもしれませんよ。インスタントの粉って細かいですよね。あれくらいまで細かく挽くといい味が出るかもしれません。挽きが大きいと、すぐに落ちてしまうので。たぶんそれで解決です!」

─── なるほど、細かくですね。帰ったら早速やってみます! 大雑把で、しかもせっかちなので、コーヒーを淹れるのにあまり向いてないかもしれません(笑)。それ以外にもコツはありますか?

「あとは粉とお湯の比率ですね。1:17くらいなんですが、それは守ったほうがいいです。計ることは大事ですね。コーヒーは化学ですから!」「ONIBUS COFFEE」が愛される理由を探ってきた。

ONIBUS COFFEE NAKAMEGURO

住所:東京都目黒区上目黒2-14-1
TEL:03-6412-8683
営業時間:9:00〜18:00
不定休 

Photo by TABI LABO

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