“覆面本”で意外な出合い 山口・文榮堂 – 読売新聞

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 本全体を包装で覆い隠し、あえて書名も著者もわからないようにして売る――。山口市の老舗書店「文榮ぶんえい堂」が始めたユニークな販売方法。読者と本の新たな出合いを生む試みとして、注目を集めている。

 大手出版取り次ぎの日本出版販売(東京都)が呼びかける魅力ある店作りの一環。山口大経済学部の学生11人にアイデアを出してもらい、1月下旬に始めた。

 道場門前商店街にある本店と市内の山口大学前店には、“覆面化”された各5冊がそろう。それぞれの本のそばには、「転職のきっかけになった」「本の魅力に気付かされた」など、客らから募集したその本にまつわる思い出や、エピソードの文言が並ぶ。

 客は店頭で中身を見ることができず、その文言だけを読んで本を選ぶ仕組みだ。エピソードをじっと読む客や、実際に購入していく人もいるという。

 また、本店に併設するカフェには七つのテーマに仕切った本棚を設置した。客に、本店内の本をそのテーマに合う棚に自由に並べてもらう。

 「自分史上最高に好きな本」の棚には、重い病と闘いながら活躍し、早世した棋士、村山聖の生涯を描いた「聖の青春」や、忌野清志郎の著書「ロックで独立する方法」。「100年後も残したい本」には、現在もベストセラーとなっている吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」や、心理学者アドラーの考えを紹介した「嫌われる勇気」が置かれている。

 さらに、山口市内の全4店舗では山口の風景画をテーマにブックカバーのデザインコンテストも開催中だ。

 こうした取り組みの背景には、ネット書店との競争や出版不況、若者を中心とした活字離れなど、厳しさを増す地方書店を取り巻く環境がある。

 日販によると、県内では2007年以降の10年で、書店数は2割減り約120店となった。19市町のうち、3町が「書店ゼロ」だという。

 生き残りをかける書店側は、近年、カフェや文具売り場を併設するなどし、本以外の商品販売に力を入れる「複合化」が目立つ。一方で、今回の「文榮堂」の本の覆面化などは、店頭で意外な本と出合う機会を作り、本を手にする喜びを伝える新たな試みと言える。

 本店の松尾正太郎店長(45)は「多くの方に来店してもらうきっかけにし、地域活性化にもつなげたい」と力を込める。(北川洋平)






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