ドローンとIoTで地域を拓こう〜仙北インパクトチャレンジから – WirelessWire News

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先ごろ開催された、事業創造をテーマとした商談・交流イベント「仙北インパクトチャレンジ」は、「未来に向かって自力で生き抜くための行動を起こす。地域からの事業創造」がそのテーマだった。今回は、当日、地元企業や大学、IoTを推進する団体によって行われたプレゼンテーションから、ドローン利用から始まる地域活性化の知恵をお送りする。

▼あきた芸術村にて開催された「仙北インパクトチャレンジ」。プレゼン大会の参加者のみなさん。
あきた芸術村にて開催された「IoT インパクトチャレンジ in 仙北」。プレゼン大会の参加者のみなさん。

林業応用、センサー開発、ドローンスポーツでドローン事業を展開

東京に拠点を置くシアンは、今年(2018年)1月に設立されたばかりのベンチャーだ。同社代表取締役CEOの岩井隆浩氏は、航空整備の仕事を通じて、製品・デザイン開発などを経験し、再び空の仕事としてドローンの世界に飛び込んだ。同社は、「林業への応用」「安全性を高めるセンサー開発」「ドローンスポーツ」という3つの柱によって、ドローンの事業化を目指している。

▼シアン 代表取締役 CEO 岩井隆浩氏
シアン 代表取締役 CEO 岩井隆浩氏

▼シアンの事業展開における3本柱となる「林業への応用」「安全性を高めるセンサー開発」「ドローンスポーツ」。
シアンの事業展開における3本柱となる「林業への応用」「安全性を高めるセンサー開発」「ドローンスポーツ」。

「林業」に関しては、埼玉県、ロボットビジネス支援機構、東京電機大学、アドイン研究所と協力し、山をまるごとスキャニングする実証試験を行っている。この実験は、山中でドローンを飛ばし、点群センサーですべての対象をスキャニングするもの。

「これにより、山に何本の木が存在し、どの木を伐採できて、在庫として何本の木が残るかということまで把握できる。私有の山の価値を定量的に判断できるし、山を切り拓いて道をつくる予算を、金融機関とかけあって捻出しやすくなる。この事業は山の多い仙北市でも活用できるだろう」(岩井氏)。

「センサー事業」は、某大手企業と東京都、埼玉大学と研究・開発しているものだ。これは飛行中のドローンの“ハードについての違和感”を検出するためのセンサーである。

同氏は言う。「ドローンとヘリコプターは、無人(ドローン)か有人(ヘリコプター)かで大きく違っている。ヘリコプターでは、パイロットが操縦中に覚えた違和感について、ブレードの高さが1cm低いということまで整備士に言ってくる。そこで点検すると、故障が見つかる。ドローンでは、こういう感覚のないことが一番の問題だ」(岩井氏)。

現在開発中のセンサーは、電気を通せる繊維で、圧電デバイスとして機能する。伸縮・曲げ・ねじりなどを検出するので、ボディにかかる応力がわかり、異常検出が可能だ。

3つ目は「ドローンスポーツ」。コスモボックスとカクオフィスミゴトと進めている。

岩井氏は「私自身はミニ4駆やガンプラに夢中になった世代。いまの子供たちにも、こういった世界を感じさせてあげたい。そこでドローンレースを企画したり、映画監督とタッグを組んでショートムービーを制作している。またドローンカフェも計画中だ。将来のエンジニアを育成するためにドローン事業を広げていく必要がある」と語った。

▼シアンの展示コーナー。子供たちにドローンの世界を教えて、未来のエンジニアを育てたいという思いがあるという。
シアンの展示コーナー。子供たちにドローンの世界を教えて、未来のエンジニアを育てたいという思いがあるという。

スマートアグリを推進する農薬散布用ドローンの新モデル

秋田県屈指の老舗製造業である東光鉄工は、3年前から産業用ドローン分野に本格的に参入した。農薬散布向けの機体を開発し、精密農業に活用できるドローンを発売している。同社の鳥潟與明氏は、自社開発のドローンや、その成果について紹介した。

▼東光鉄工 UAV事業部 シニアマネージャー鳥潟與明氏
東光鉄工 UAV事業部 シニアマネージャー鳥潟與明氏

同社は、昨年、廃校になった小学校にドローン製造工場を移転した。

「廃校はいろいろな用途で利用できる。ドローンの免許講習や、新型ドローンのテストフライトも行えるし、体育館では雨天・夜間での飛行も可能だ。子供たちに向けたプログラミング教育も行っている」(鳥潟氏)。

東光鉄工は、ドローン関連以外でも、国土交通省が進める「i-Construction」の認定教習施設に選ばれ、同社にて免許も取れるようになった。ちなみにi-Constructionとは、ICTを建設現場に導入し、ブルドーザやバックホーなどを精密に動かす情報化施工技術だ。

農業用ドローンについては、いよいよ今年から農地での自動航行が解禁されそうだ(以前はリモコン操作が義務付けられていた)。

「自動航行をにらみ、どこよりも安く、拡張性の高い農業用ドローンを提供したい。圃場をカメラでモニタリングし、5mメッシュ単位のピンポイントに自動で農薬をまく技術も開発した。経験が不要で、高品質なお米を生産できる」(鳥潟氏)。

▼東光鉄工が開発した生育状況調査に基づく適時・適量自動追肥システム。5mメッシュで圃場に農薬を散布し、均一に追肥できる。
東光鉄工が開発した生育状況調査に基づく適時・適量自動追肥システム。5mメッシュで圃場に農薬を散布し、均一に追肥できる。

今年1月に同社は、満を持して大型粒剤&液体散布用マルチコプター「TSV-AH2」を発表。自動航行装置を追加するとスマート農業用になり、安定飛行しながら1.25ヘクタールの圃場に、最大10リットルの液剤を13分で散布できる。スライド式で大型粒剤と液体の散布を容易に交換できる特徴もある。価格は170万円だ(粒剤散装置付き)。

▼東光鉄工が開発した生育状況調査に基づく適時・適量自動追肥システム。5mメッシュで圃場に農薬を散布し、均一に追肥できる。
東光鉄工が開発した生育状況調査に基づく適時・適量自動追肥システム。5mメッシュで圃場に農薬を散布し、均一に追肥できる。

このほか農薬以外の散布事業として、青森県の農業高校とユニークなリンゴの受粉作業をドローンで実現し、大きな成果を得た。

「人海戦術とドローン散布での結果を比べると、リンゴの末成り率が違う。人手では38%、ドローンでは全体の17%となり、ドローンのほうが育ちが良くなる。サイズも人手だと平均35.8mm、ドローンだと平均46.1㎜で、1㎝以上も大きく育つ」(鳥潟氏)。

同社では農業外の多目的ドローンの開発も計画中だ。マルチロータ型で水に浮くモデルと、垂直離陸のVTOL型のドローンで、雨風に強く、災害救助にも使えるものするそうだ。

先端技術と伝統舞踊や演劇を組み合わせたビジネスモデルの創出

玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科 小酒井研究室の中島絵美花氏は、秋田のわらび座を活性化するためのアイデアについて発表した。これは昨年末、東北工業大学で開催された3大学連携プレゼンテーション大会2017で発表した内容を、さらにブラッシュアップしたもの。

▼玉川大学 工学部 マネジメントサイエンス学科 中島絵美花氏
玉川大学 工学部 マネジメントサイエンス学科 中島絵美花氏

玉川大学 小酒井研究室は、本イベントの開催場所である「あきた芸術村」の活性化をテーマに、優れたビジネスプランを考えた。なかでも和製ミュージカル拠点のわらび座が独自開発した「動作記述システム」に着目。本システムを活用し、観客に感動を提供する3つのモデルを検討している。

▼玉川大学 小酒井研が考案した先端技術と伝統舞踊や演劇を組み合わせたビジネスモデル。観客に感動を提供する3つのモデルを検討。
▼玉川大学 小酒井研が考案した先端技術と伝統舞踊や演劇を組み合わせたビジネスモデル。観客に感動を提供する3つのモデルを検討。

「動作記述システムでは、モーションキャプチャを使い、伝統舞踊の動きを標準化できる。舞踊の細やかな動きを“舞踊符”に分けて組み合わせ、“舞踊譜”として変換して、舞踊を標準化する」(中島氏)。

▼玉川大学 小酒井研が考案した先端技術と伝統舞踊や演劇を組み合わせたビジネスモデル。観客に感動を提供する3つのモデルを検討。
▼玉川大学 小酒井研が考案した先端技術と伝統舞踊や演劇を組み合わせたビジネスモデル。観客に感動を提供する3つのモデルを検討。

1つ目のモデルは、この仕組みと先端技術を組み合わせ、観客のエピソードを劇にするという発想だ。SNSのつぶやきを喜怒哀楽で分け、舞踊符を組み合わせ、AIによりシナリオを作成。それを役者が演じるというもの。「今の時代はカスタム化が求められるため、市場性も見込めるだろう」(中島氏)。

2つ目は、舞踊譜とARを用いて伝統芸能を体験してもらうアイデア。お面をかぶり、そこに映し出されたARゲームで遊ぶと伝統芸能の理解が進む。中島氏は「訪日外国人が増加する昨今、東北への呼び込みに寄与できる。言葉の壁を越えて日本文化を知ってもらえる。これは伝統芸能を大切するわらび座だからこそ実現できることだと思う」と強調した。

3つ目は、観客が演劇にリアルタイムに参加する提案だ。劇の開始と終焉のシナリオは作られているが、途中のターニングポイントで観客がスマホから演劇符を選択。それらをWebサービスで集計して内容を変化させる。演者への指示は、音を振動に変える富士通のデバイス「Ontenna」を利用。「演劇に付加価値が増し、モノからコトへの感動を呼び起こせるだろう」(中島氏)。

▼玉川大学 小酒井研が考案した先端技術と伝統舞踊や演劇を組み合わせたビジネスモデル。観客に感動を提供する3つのモデルを検討。
▼玉川大学 小酒井研が考案した先端技術と伝統舞踊や演劇を組み合わせたビジネスモデル。観客に感動を提供する3つのモデルを検討。

同氏は「これらを実現するために、従来の舞踊符に加えて、四感付(視覚、聴覚、嗅覚、触覚)と動作符(舞踊符以外の動作)を考案した。たとえばソーラン節ならば、縄を引く動きや、香り、音の要素をひとつにまとめた演劇符として記号化できる」と説明した。

テレイグジスタンスとソーシングを組み合わせた映像の新規ビジネス

大阪市から参加したのはtoraruの西口潤氏だ。同社は、大阪市IoT推進ラボから支援を受ける企業だ。大阪市は、IoTに特化したビジネス創出プログラム「AIDOR」を提供しており、ここで経験豊富なメンターがスタートアップを支援したり、ビジネスマッチングや資金の面倒をみている。

▼わらび座の展示コーナーで披露された「動作記述システム」のデモ。伝統芸能の伝承に役立つユニークなシステムだ。
わらび座の展示コーナーで披露された「動作記述システム」のデモ。伝統芸能の伝承に役立つユニークなシステムだ。

同社は、ネットを通じて不特定多数の人々に業務依頼する新雇用形態として、群衆(crowd)と業務委託(sourcing)を組み合わせた「crowdsourcing」を考えた。具体的には、現地に行けない人と現地に住む人をマッチッグさせ、テレイグジスタンス(telexistence 遠隔臨場感)で現地映像を共有する体験サービス「GENCHI」だ。

テレイグジスタンスは、遠隔地にあるモノや人が、あたかも近くにあるように感じながら、操作を行えるVR技術のこと。米国では、遠隔で動く分身ロボットが、店内を動き回り、接客をするという事例も出てきている。

GENCHIは、この技術とソーシング技術を使い、オークションで請負人と依頼人がやりとりし、どこに行きたいかを相談する。たとえば、富士山麓に住む人に、いまの雪景色を撮って見せてほしいと頼むと、現地の請負人が撮影した映像を送ってくれる。取引が終われば請負人の評価が与えられる。

▼合同会社toraru 代表 西口潤氏
合同会社toraru 代表 西口潤氏

「このサービスを使えば、現地の人々の空き時間を有効利用してビジネスが可能だ。介護施設の高齢者からの依頼や、インバウンドのガイドなどにも役立つ。将来的にはロボットやドローンとも接続したい。ドローンを所有する人が現地映像を送るマネタイズ手段として使えるかもしれない」(西口氏)。

このサービスは、逆にナレッジのある人をスマホに召喚し、現地の人が何か手助けをお願いする仕組みにも応用できるだろう。テレイグジスタンスをビジネス化するユニークなアイデアだ。

▼toraruが進める体験サービス「GENCHI」。現地に行けない人と現地の人をマッチッグさせ、テレイグジスタンスで映像を共有させる。
toraruが進める体験サービス「GENCHI」。現地に行けない人と現地の人をマッチッグさせ、テレイグジスタンスで映像を共有させる。

▼東光鉄工の展示コーナー。新モデルの大型粒剤&液体散布用マルチコプター「TSV-AH2」。自動航行装置を追加し、スマート農業に対応。
東光鉄工の展示コーナー。新モデルの大型粒剤&液体散布用マルチコプター「TSV-AH2」。自動航行装置を追加し、スマート農業に対応。

▼田沢湖モーターズの展示コーナー。地元でも東光鉄工のドローンや、ウェアラブルカメラなどを販売している。
田沢湖モーターズの展示コーナー。地元でも東光鉄工のドローンや、ウェアラブルカメラなどを販売している。

▼toraruが出展していた大阪市IoT推進ラボのブース。GENCHIのデモとして、テレスタンスによるデモを実施。
toraruが出展していた大阪市IoT推進ラボのブース。GENCHIのデモとして、テレスタンスによるデモを実施。






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