NPO法成立20年 多様化する公益活動 – 公明新聞

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社会貢献活動の促進を目的とした「特定非営利活動促進法」(NPO法)の成立・施行から、今年で20年。公明党が成立を推進した同法によって、法人格が取得しやすくなり、NPO法人数は約5万2000にまで増加した。活動分野も多様化し、共生社会の地域づくりの担い手として、その存在感は高まる一方だ。日本NPOセンター代表理事の早瀬昇氏の見解と合わせて、NPO法人の現状を紹介する。

就労、災害救援、子育て、観光…

共生社会の担い手に成長

NPO法人が取り組む主な活動分野NPOの活動分野は、福祉、教育・文化、まちづくり、環境、国際協力など多様化してきている。

活動の場は、当初、行政機能の委託を受けるケースが想定されてきた。

例えば、ニート・ひきこもりなど、さまざまな理由から働くことに不安を抱える若者の就労を支援する「地域若者サポートステーション」(サポステ)。この多くは、NPO法人が委託を受け、運営している。

災害分野では、阪神・淡路大震災以降、被災地支援に携わってきたNPO法人の中で、避難所の環境整備や在宅避難者支援、炊き出しや調整など、災害特有の業務に対応できるノウハウ(能力)を身に付けた団体も多い。

こうした中、2011年の東日本大震災では、警察、自衛隊と情報を共有しながら、支援活動を展開した。16年の熊本地震でも、発災直後、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)が熊本、大分両県で活動しているNPOやNGO(非政府組織)などに呼び掛け、行政などと連携・協働する場として「熊本地震・支援団体 火の国会議」を設立した。

発災当初、毎晩開かれた同会議では、国や県など行政の関係者と、医療・保健・福祉の専門職、災害救援NPO・ボランティアとの情報交換や施策の調整などが行われた。参加団体数は最大で約300に上った。また、災害ボランティアセンターの運営をNPOなどがサポートする体制も整えた。専門性を帯びたNPO法人の活動は、着実に深化している。

福祉分野では、とりわけ、育児に関わるNPO法人の増加が目立つ。社会全体として仕事と育児の両立に取り組む推進力となっている。

また、医療分野では、特に、外見では分からない心臓疾患などの内部障がい者、難病といった、あまり知られていない病気に悩む患者やその家族らによるNPO法人が相次いで設立されている。設立後の地道な活動が、それぞれの病気に対する社会的な認知度を高め、公的支援や新たな難病指定につながるケースも出ている。

また、近年の訪日外国人客の増加を見据え、観光案内を担うNPO法人を立ち上げる若者が登場するなど、社会的起業の意識も芽生えつつあり、時代の流れを取り込んだ活動が広がっている。

休眠預金を運営資金に

19年秋から運用を開始 公明党が法制化リード

休眠預金の活用の仕組み慢性的な財政難に悩むNPO法人に対する支援策も着実に充実してきている。

その大きな柱の一つとして注目されているのが、10年以上放置され、入出金などの取引がない預金をNPO法人など民間の公益活動に活用できるようにする「休眠預金活用法」だ。公明党を含む超党派の議員連盟がまとめた議員立法で、16年12月に成立し、今年1月に全面施行された。

休眠預金は、毎年1000億円程度が発生しているが、このうち、500億~600億円は顧客からの払い戻しの要望がない。

同法では、休眠預金で後押しする団体の活動分野として(1)子どもや若者への支援(2)日常生活などを営む上で困難を有する者の支援(3)地域活性化などへの支援――の三つを明記。

内閣府は3月30日、休眠預金の活用に関する基本方針を決定。方針では、これまで既存制度において対象とされてこなかった課題に焦点を当て、前例のないものや、公的制度の谷間となっている取り組みなどを中心に支援すると規定している。

内閣府では、19年夏までに、事業者を選ぶ条件など具体的な制度を定めた基本計画を決め、同年秋から制度の運用を始める方針だ。

公明党は、14年1月から休眠預金の活用について検討を開始。党内にプロジェクトチームを立ち上げ、NPO法人の現場関係者らからヒアリングを実施するなど、精力的に議論を重ねてきた。超党派の議員連盟でも主導的な役割を果たし、法制化をリード。活用の仕組みは、公明党案をベースに作られた。

行政の役割上回る気概を

日本NPOセンター代表理事 早瀬 昇氏日本NPOセンター代表理事 早瀬 昇氏

――NPO法成立から20年。どう変わったか。

早瀬昇氏 NPO法の成立は、日本で「公益活動を市民の力でも創れる」ことが明確になった、まさに画期的な法律だ。

NPO法人の活動分野は、比較的、福祉関連が多い。元々、福祉活動に取り組む団体が多かったが、2000年に始まった介護保険制度の影響もある。同制度が介護サービスにNPO法人の参入も認めたため、訪問・通所介護サービスなどを手掛ける団体が増えた。

NPO法人は活動の自由度が高く、行政や企業がなかなか取り組めず、多くの人々がまだ知らない課題をクローズアップして、試行錯誤を繰り返しながら、創造的な問題解決へと導く役割も担ってきた。

具体的には、DV(家庭内での暴力)や生活困窮者の自立支援、自殺防止、難病支援などが挙げられる。自殺対策のように、遺族が当事者として名乗り出ることを起点に対策に取り組む活動が広がり、法整備が進んだ事例もある。

――今後、NPO法人が取り組むべきテーマは。

早瀬 人々の関心は、モノの不足より、自身の生活の質的な豊かさに軸足を移してきているように感じる。人々が、わくわくするような活動を後押しするNPO法人の活動が注目される。

また、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の発達は大きな変化をもたらしている。例えば、都市部に事務所を置くNPO法人でも、過疎地域など遠隔地に住む人々に対して、情報を双方向でやりとりできるようになった。こうした手段を有効活用するNPO法人も増えてくるように思う。

――財政難と人材不足に悩む法人が多い。

早瀬 国の税制改正や法整備によって、行政が支援する体制は徐々に整ってきた。NPO法人自体が寄付文化や参加を促す取り組みが必要だ。

日本ファンドレイジング協会の調査によると、日本人が寄付しようとする団体を選ぶ時に最も重視するのは「寄付の使い道が明確で、有効に使ってもらえること」や「活動の趣旨や目的に賛同できること」だという。寄付がどのように使われたのかを寄付者に伝える仕組みが整備されれば、寄付した人の達成感を高めることにもなる。

人材の確保については、若い世代がNPO法人を創設するケースも増えている。また、これからは、職場を退職後、社会貢献したいという気概を持つ高齢者の活躍にも期待したい。

NPO法人に限らず、法人格の違いや有無に関係なく、民間団体が市民の参加を進め、専門的な知見を蓄積し、今後、人々が直面する社会的課題の解決に対し、行政を上回る役割を発揮できることを期待したい。






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