23区の定員抑制 地方大学の振興こそが大切だ – 読売新聞

Home » 町おこし » 23区の定員抑制 地方大学の振興こそが大切だ – 読売新聞
町おこし コメントはまだありません



 東京23区の大学の定員を抑制することで、一極集中を是正する効果がどれほどあるのだろうか。地方大学の振興にこそ注力すべきである。

 23区内で大学・学部の新設と定員増を10年間にわたり原則禁止する地域大学振興法案が、衆院を通過した。自民、公明両党のほか、立憲民主党、希望の党、日本維新の会なども賛成した。

 参院での審議を経て、今国会で成立する見通しだ。

 地方の私立大が定員割れに苦しむ中、23区の大学の学生数は増加傾向にある。若者の東京への流出に歯止めをかけ、地方の大学振興につなげたい、という全国知事会の要望を受けた法案だ。

 急速に進む少子化、過疎化への危機感は理解できる。だが、東京都心の大学を狙い撃ちするような手法には、疑問が拭えない。

 「地方大学の学生増には結びつかない」「私立大の経営環境に影響を及ぼしかねない」。衆院の審議でも、一部の野党議員から定員抑制への懸念が示された。

 自民党議員からも「大学の国際競争力が失われることがあってはならない」との注文が付いた。

 もっともな指摘である。

 都心部の大学で教育、研究を停滞させないことが重要だ。自由に定員を増やせなければ、社会の変化に対応した学部の新設などが難しくなりかねない。

 規制の効果と弊害を検証しながら、柔軟に運用していくべきだ。既に進行中の移転や増員は認める配慮も必要だろう。

 何より大切なのは、10年間の時限措置期間中に、地方大学の振興へ確たる道筋を付けることだ。

 福島県の会津大は、最先端の情報通信技術(ICT)に関する教育、研究に取り組み、地元自治体や企業と様々な連携を進める。

 山形県鶴岡市の慶応大の研究所は、国際的に注目される新素材を開発した。成果を活用したベンチャー企業が地元に誕生した。

 法案には、産学官連携プロジェクトへの交付金の創設が盛り込まれた。政府は、企業の本社機能の地方移転や地域人材の採用も後押しする。若者の定着には、魅力ある雇用の創出が欠かせない。

 都市部の大学が地方にキャンパスを新設するケースも増やしたい。双方の学生が交流すれば、地域の活性化につながろう。

 23区の規制では、海外に比べて少ない社会人や留学生の定員増が例外として認められる。都心にある特性を生かし、多様な学生を引きつける工夫が求められる。






コメントを残す