新しい風の行方 /佐賀 – 毎日新聞

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 新市長の選挙公約が最大のテーマだった6月定例伊万里市議会は4日、閉会した。議員を二分した激闘の市長選から3カ月。「余塵(よじん)くすぶる白熱議会」を予想する声もあったが、実際は冷静な議論で市長提案を可決した。しかし、異論や問題点の指摘がなかったわけではない。伊万里に吹く新たな風の行方を追った。

 「課題は現場にある」と深浦弘信市長は候補者として教育現場を回り、課題を探った。その一つが県内最低水準のエアコンの整備。4年間で小中学校に整備するが、議員からは「公約だからといって、既定の優先順位を無視していいのか」とシビアな指摘を受けた。

 昨年11月の総合教育会議(市長と教育委員会の協議の場)で、市は学校の施設整備の優先順位を決めていた。エアコンは校舎の雨漏り対策、トイレやプールの改修などに次ぎ5番目。議員は「エアコンに教育委員の意見は割れ、必要ないとの発言もあった。緊急性の高い上から順番に取り組むべきでは」と問いかけた。

 深浦市長は「雨漏りだらけの学校の現状に驚いている。どうしてここまで放置していたのか。トイレやプールも含め全部をこれまでにやっておくべきだった」と前市政を批判。今後は優先順位に縛られず「できるものから取り組む」と答弁し、こうつけ加えた。「4年間で保護者と子供が『教育環境がよくなった』と実感できるようにしたい」

 運営交付金制度も教育現場の課題を迅速に解決するための公約。小中学校や幼稚園、保育園で施設の修繕や備品・消耗品が急に必要となった場合に備え「校長や園長の裁量で使えるお金」を用意した。しかし、施設の修繕費や備品・消耗品代は教育予算に計上されており、議員は「予算を使うのがスジだ」と指摘した。

 制度の目的を市教委は「各校の自主性に基づく『特色ある学校づくり』を推進し、多様な課題に迅速に対応するため」と説明した。本音は前半の「特色ある学校づくり」の部分で、後半は付け足しのような印象。

 市内には一輪車競技の盛んな小学校、カブトガニの保護に熱心な小中学校、郷土の偉人を劇にして発表する小学校などがある。こうした学習活動では講師を呼んだり、資料を集めたり、発表会を開く。市教委は「そのために必要な費用に使ってほしい」と説明した。

 公民館の機能充実も公約である。「地域の課題は地域で解決する」と市内13公民館に本庁の権限の一部を移譲し、そのための予算と人員を配置する。構想は明快だが、新たな制度設計には手間がかかる。おまけに市長は「町おこし機能も持たせたい」「館長は公募で」と夢を語り、論点整理にも時間がかかりそうだ。

 市庁舎の移転はもっと時間がかかりそうだ。中心市街地に大型商業施設を誘致し、市役所との複合施設を建設する公約。だが、実施時期について「市として検討しておらず、今任期中の移転は無理だが、方向づけはしたい」と市長。財源のメドづけが肝要だ。【渡部正隆】







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