《ニュース最前線》魅力発信 都心でしのぎを削る 自治体アンテナショップ – 上毛新聞ニュース

Home » 町おこし » 《ニュース最前線》魅力発信 都心でしのぎを削る 自治体アンテナショップ – 上毛新聞ニュース
町おこし コメントはまだありません



《ニュース最前線》魅力発信 都心でしのぎを削る 自治体アンテナショップ

[2018/07/08]

県産野菜を使ったスイーツが並ぶぐんまちゃん家

開店前には行列もできる北海道どさんこプラザ

イートインスペースにタブレット端末を置き、来県を促す栃木県の「とちまるショップ」

 日本全国の自治体が東京都内に設けるアンテナショップが、この10年で倍増した。観光誘客や販路拡大につなげようと、各店は特産品や食材、観光地などの魅力のアピールに力を入れ、競い合う。群馬県のぐんま総合情報センター「ぐんまちゃん」は6月12日に銀座7丁目に移転した。今月25日には、県産食材を扱うレストラン「銀座つる」も店舗2階にオープンし、本格始動する。

◎誘客と発信 連携が鍵 激戦地で「ぐんまちゃん家」奮闘

 年間の売り上げ目標は、従来の約2倍となる3億円に設定。日本料理の名店「京都吉兆」の総料理長が監修したオリジナルメニューをレストランで提供したり、野菜スイーツの販売などを通じて、県産食材の質と豊富さの発信に攻勢を掛ける。

 移転開業時の式典で、大沢正明知事は「いろいろな面で群馬の文化を味わい、魅力を感じる絶好の機会になる」と意気込んだ。

 銀座や有楽町は自治体の“情報発信拠点”が集まる激戦地。移転前より人通りの少ない店舗でいかにリピーターを獲得し、誘客につなげるのか。ぐんまちゃん家や各店の取り組みを探った。

■ワンランク上
 「前よりゆったりして買い物をしやすくなった」。6月12日に移転オープンしたぐんま総合情報センター「ぐんまちゃん家」を訪れた佐々木茂樹さん(65)=東京都大田区=はこう話し、すっきりしたディスプレーを気に入った様子。伊香保温泉名物の温泉まんじゅうなど、目当ての商品を買い求めた。

 歌舞伎座前から大型商業施設「GINZA SIX」近くに移転したぐんまちゃん家は、物販エリアの面積を1.23倍の173平方メートルに拡大する一方、商品点数は約600品とほぼ据え置き、余裕を持たせた。有名菓子職人の柿沢安耶さんが作る旬の県産野菜を使ったスイーツも扱い、落ち着いた雰囲気にした。2階の「銀座つる」では上州牛などの炭火焼き料理も提供。銀座に合わせた高付加価値の独自商品にも力を入れていく。

 宮崎信雄所長は「今までよりやや奥まった場所なので、ぶらっと寄る人は少なくなるかもしれない」とした上で、「ワンランク上の商品や、野菜スイーツで若い女性など新しい顧客を開拓してリピーターを増やしたい」と力を込める。周辺の店舗とも協力し、群馬の魅力をアピールしていく考えだ。

 ぐんまちゃん家が出店する銀座・有楽町・日本橋周辺エリアには、都内にあるアンテナショップのほぼ半数の約30の店舗が集中し、魅力発信を競い合う。

■飽きさせない
 JR有楽町駅前の東京交通会館に入る北海道のアンテナショップ「北海道どさんこプラザ有楽町店」。店内は試食を勧める声が響き、活気にあふれる。鎌倉市の女性(65)は「おいしいものが多くて楽しい。商品も毎回違うので、近くに来ると寄ってしまう」と買い物を楽しんでいた。

 1999年の開店当初は売り上げが低迷した時期もあったが改善を重ね、年間売上高10億円、入場者数230万人を誇っている。その場で食べられるソフトクリームや揚げ物で売り上げの2割を稼ぎ、道内各地から新製品が挑戦する「ルーキーステージ」を開いて商品を入れ替え、来場者を飽きさせない工夫もする。

 川合洋平店長は「いい商品を買ってもらうことが北海道のPRになる」と強調。同じビルの「どさんこ旅サロン」とも連携し、観光にもつなげている。

 近年はアンテナショップの改修も相次いでいる。東京スカイツリータウン・東京ソラマチに出店する栃木県の「とちまるショップ」は情報発信力を強化しようと昨年12月にリニューアル。新たに設けた飲食コーナーに観光情報を見られるタブレット端末を置き、来県を促す。タブレットを操作しながらソフトクリームを食べていた都内の女子大学生(23)は「友人と果物狩りに行こうと話していたので、情報を参考にしたい」と話した。

 茨城県もレストランと物販を併設する東京・銀座の「茨城マルシェ」を改修中で9月末にオープン予定だ。担当者は「県産品の評価が実力に比べて低いのを打破したい。高付加価値の商品で、的を絞って情報発信する」と力を込める。

■周遊を促す
 アンテナショップの調査や相談業務を手掛ける地域活性化センター(東京)は、それぞれの自治体でアピールするものが異なるためアンテナショップは競合関係ではないとする。その上で、「銀座・有楽町周辺はスタンプラリーなどを合同で企画し、周遊を促すことができる」と指摘。「地域の持つ文化をどのように物販や飲食に絡め、体験してもらうかが鍵になる」とオリジナリティーの重要性を訴えた。

 ぐんまちゃん家が歌舞伎座前から移転したことについては、「人通りの多い銀座にあることに変わりはない。新規出店や改修でアンテナショップ全体が盛り上がっているので、横の連携を深めれば集客につながるのではないか」とした。

◎メディアへ情報広告効果は11億…ぐんまちゃん家が新店舗に

 2008年7月にオープンしたぐんまちゃん家の売り上げは、09年度は4878万円だったが、面積を拡張した11年度に9235万円と倍増。向かいの歌舞伎座がリニューアルオープンした13年度には1億6416万円とさらに増え、それ以降は1億5000万~1億6000万円台で推移した。

 自治体アンテナショップ56店を対象にした地域活性化センターの調査では、年間売上高が1億円以上3億円未満の店舗が22店舗と最も多い。ぐんまちゃん家の売り上げも平均的な水準といえる。

 ぐんまちゃん家では物販のほか、マスコミや旅行会社に向けた情報発信にも力を入れている。本県の魅力をアピールする「サロン・ド・G」を不定期で開き、マスメディアへの露出やツアーの企画につなげている。17年度の広告効果を約11億円と試算しており、ツアーは58件506日分に上る。移転後も「サロン・ド・G」を開き、積極的なアピールを続ける。

《記者の視点》県外アピール 意識を

 「群馬ってイメージがないですね」「何が特産なんですか」。各自治体のアンテナショップで来場者に群馬の印象を聞くと容赦ない反応が返ってきた。観光名所やおいしい食材を紹介してやり過ごしていたが、内心かなりの焦りを感じた。

 群馬は魅力にあふれている。抜群にうまい牛肉や豚肉。あらゆる種類の野菜が採れ、キノコも果物もおいしく、食材には事欠かない。草津や伊香保をはじめとする温泉地、尾瀬など豊かな自然、富岡製糸場といった魅力的な観光スポットが多数存在し、アウトドアスポーツも満喫できる。

 ただ、それを県外の人が認識していないなら、彼らにとって無いことと同じになってしまう。群馬は東京からもアクセス抜群。良いイメージが定着すれば、何度でも来てもらえるはず。

 移転したぐんまちゃん家の情報発信に期待するとともに、県民一人一人が郷土の魅力発信の意識を高めていきたい。(東京支社報道部 宮村恵介)






コメントを残す